John Scofield & Joe Lovano Quartet
Live Report




2008.10.10 Blue Note Tokyo 1st set

John Scofield(guitar)
Joe Lovano(sax)
Matt Penman(bass)
Matt Wilson(drums)

セットリスト:
1. Fort Worth
2. Since You Asked
3. Big Ben
4. Ettenro
5. I Don't Stand A Ghost Of A Chance
6. Twang
7. Budo
8.(アンコール)

Scofield Lovano photo by Takuo Sato

ジョン・スコフィールドが、久しぶりにジョー・ロヴァーノと組んだカルテットで、ブルーノート東京でLIVEを行った。
近年のスコフィールドといえば、Jamバンドの活動で評価が高くてこの方面では既に巨匠の風格が漂っている。
しかし、スコフィールドとロヴァーノは1990年あたりレギュラーで活動していて、アルバム吹込みは1992年「What We Do」以来久しく途絶えたままでいる。
その後、2002年にスーパーセッション・グループScolohofo「Oh!」で共演しているので、今回はそれ以来6年ぶりになる。
また、更に双頭バンドとしては実に16年ぶりとなるので、最近の両者の音楽の方向性からして、どんなステージになるのか楽しみだった。

1曲目"FORT WORTH"は、 ノリの良い4ビート曲でまさにこのメンバーならではというステージが始まった。
ロヴァーノのテナーは豪放なイメージがあるが、実際は豪放というよりもテクニカルできめ細かいプレイが印象的だ。
逆にスコフィールドはワイルドで、CDで聴けるよりももっと変態フレーズと個性的なプレイを披露してくれた。

それにしてもスコフィールドのギター・プレイは、CDで良く聴いているとはいえ、生で見ると不思議でどこからやって来たのだろうと思うほどに個性的なプレイを聴かせてくれる。
使用機材はVoxのアンプ(Beatles使用でも有名)を使い、足元には意外にもかなり多くのエフェクターをボード一杯に満載していた。
スコフィールドはあまりエフェクターを使わないと思っていたのだが、LIVEではかなり使っているようだ。
ただ、それらの使い方は味付け程度に添える程度なので気に留めてなかったのだが、意外に頻繁にON/OFFを繰り返していた。
Scofield Lovano photo by Takuo Sato

2曲目の"SINCE YOU ASKED"はスローなブルース・ナンバー。
こういうスロー・ブルースはスコフィールドの得意としたところであろう。
なんせ、マイルス・デイビスも、スコフィールドのブルースについては評価している。
そのあふれ出すフレイズには、なんともおいしいところ満載で、グっと来てしまうのだ。

3曲目"BIG BEN"はちょっとアップテンポの曲。
この曲はロヴァーノの独壇場で、ロヴァーノは2本の管で出来た不思議なホーンを吹いた。
これは1人でハーモニーを出せる楽器になっていて、そのハーモニーが面白い。
例えばローランド・カークのような一人多重演奏を思い起こすのだが、ロヴァーノの場合はもっとハーモニーとフレーズが密接している。
もしCDで聴くと、SAXにハーモナイザーをかけているように思えるかもしれない。
曲の終盤にロヴァーノ、スコフィールドのソロの掛け合いはなかなか楽しませてくれた。

4曲目"ETTENRO"はFree Jazz的な演奏で、オーネット・コールマンを連想する。
この曲でのマット・ウィルソンのドラム・ソロはかなり個性的だ。
スティックでタムのふちを叩いたり、そのうちこすったりと、なかなか他では見ることのできないドラム・ソロ。
これはちょっとCDではわからないだろうから、LIVEに見に来た人は結構楽しめたと思う。

5曲目"I DON'T STAND A GHOST OF A CHANCE"はギターのソロ演奏から始まるバラード。
スコフィールドのバラード・プレイは特筆ものである。
マイルス・バンド加入以前から、スコフィールドのバラードは良いと思っていた。
コードを使ったソロでそれで盛り上げていく。
予想していたのとはちょっと違った・・・予想はシングル・トーンで搾り出すような歌い上げだった。
しかし、こちらもなかなか良い感じだ。
コード・ソロでバラードを歌い上げられるギタリストなんて、そうそうは居ないはずだろうから。
Scofield Lovano photo by Takuo Sato

6曲目はとりあえず最後の曲としてMiles Davisの"Budo"。
なにかやっとストレートなJazzの曲だなという気がする。
スコフィールドとしても、元マイルス・バンド出身ということもあり、マイルスの曲を演奏するということは特別なのだろう。
このLIVEの中では一番明瞭で、真っ正直に4ビートでスイングしているように思えた。

一度引っ込んだメンバーが拍手に答えてアンコールを1曲。
これもレイジーなノリで、スコフィールドのお得意のパターン。
スコフィールドのどのアルバムにもこのようなノリの曲が1曲ははいっているので期待していた。
とても楽しい雰囲気でLIVEを締めくくってくれた。

なかなか充実したLIVEであった。これはという曲は特に無かったのだが、演奏の質がとても高い。
どちらかというと通が好むようなJazzであって、何度も唸ってしまう場面を見せてくれた。
ただ、今回はどちらかというとリユニオン的な色彩の濃いLIVEである。
その意味ではスコフィールドの現在の流れとは違うのであるが、非常にレベルの高さを伺えた。
なので、もしかしたらこのコンビの復活となるのかもしれないし、更にもしかしたら今後新譜も?・・・。
このLIVEを見たことで、スコフィールドの今後の動向が気になりだした。(TKO)




Photo by Takuo Sato
取材協力:株式会社EMIミュージック・ジャパンブルーノート東京
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