Bernard Purdie & Chuck Rainey
Live Report




バーナード・パーディー/Bernard Purdie(Drums)
チャック・レイニー/Chuck Rainey(Bass)
ロブ・パパロツィ/Rob Paparozzi(Harmonia/Vocals)
ジョージ・ナーハ/George Naha(Guitar)
ジョン・コルバ/John Korba(Piano/Vocals)

2008.11.6 ビルボード・ライブ大阪 2nd set

数々のレコーディングセッションで活躍してきたドラマーのバーナード・パーディーとベーシストのチャック・レイニーを中心としたユニットが昨年に続いて来日した。

オープニングはアレサ・フランクリンのナンバーから幕を開け、最初からご機嫌なグルーブを聴かせてくれる。どうってことない普通の8ビートなのだが、なんとも気持ちよいリズムが繰り出されてくる。

ヴォーカリストとして元ブルース・ブラザーズ・バンドに参加していたというロブ・パパロツィがこの日の7割程度の曲でリード・ヴォーカルを取っていたのだが、ジョン・ベルーシの下品さだけを真似たようなヴォーカリストでがなっているだけのような歌い方はあまり好きになれない。
ギタリストのジョージ・ナーハは堅実なプレイで、好感が持てたが、ファンク系の曲での16ビートのカッティングになるとパーディーとレイニーのグルーヴ感に置いていかれているという印象を受けた。
スティーリー・ダンの名作「Aja」のリズム・セクションということで、この日のステージでもスティーリー・ダンの曲が3曲演奏され、これらの曲ではキーボードのジョン・コルバがリード・ヴォーカルを取るのだが、こちらは声量不足で弱い。
チャック・レイニーも1曲だけ歌っていたが、歌の方はお世辞にもうまいとはいえない。

ポップス系ヴォーカル・ナンバーのカバー曲を中心に進められるステージは、歌が今ひとつだと、なんだかラスベガスの安っぽいホテルのラウンジやっているような場末のレビュー・ショーような雰囲気を連想してしまう。

それでもパーディーとレイニーから出てくるリズムはどの曲でもひたすら気持ちよいのである。特にパーディーのドラムスが最高によくて、パーディーのドラムスから生み出されるリズムに身を委ねているだけで幸せな気分になれる。

そしてサプライズは2度目のアンコールで演奏されたこの日唯一のインスト・ナンバーでスタッフの「How Long Will It Last」だった。
パーディーは80年代にニューヨークでスポット的に再編成されてライブを行っていたスタッフに参加していたこともあり、筆者が83年にニューヨークのThe Seventh Avenue Southで運よく見ることができたスタッフのステージを思い出してしまった。オリジナル・メンバーのスタッフでドラマーだけがパーディーに入れ替わった編成で、パーディーと今は亡きリチャード・ティーとエリック・ゲイルそしてコーネル・デュプリー、ゴードン・エドワーズから繰り出されるリズムは正にこのメンバーでしかあり得ないようなグルーヴ感で、もう生では決して聴くことができない種類のものだったのだと思う。
そういう意味でこのパーディーとレイニーのバンドは生身の本物のグルーヴを実際に体験できる今では数少ない世界遺産のような存在である。

観客への握手やサインも怠らずサービス精神旺盛な、パーディーの人懐っこい笑顔も印象に残るライブであった。 (橋 雅人)




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