PRISM デビュー30周年記念ライブ!
[HOMECOMING 2007]
[PRISM]
和田アキラ(G)、木村万作 (Ds)、岡田治郎(B)

[ゲスト]
久米大作(Key)佐山雅弘(Key)中村哲(Sax)
新澤健一郎(Key)中島オバヲ(Perc)




2007年7月7日(土) 新宿Face
PRISM HP
ライブの予定

[セットリスト]

曲名

収録

作曲者

1

風神

III

1979

久米大作

2

Tornado

PRISM

1977

和田アキラ

3

Dancing Moon

PRISM

1977

和田アキラ

4

Crystal Night

Second Move

1978

久米大作

5

Full Moon

Surprise

1980

佐山雅弘

6

Upside Down

Surprise

1980

渡辺健

7

Karma

Surprise

1980

和田アキラ

8

Shadow Of the Jungle gym

永久機関

1983

和田アキラ

9

Memory Of the Moment

Community Illusion

1981

和田アキラ

10

Memories Of You

III

1979

渡辺健

11

Beneath The Sea

Second Move

1978

和田アキラ

12

blue

2007

木村万作

E-1

Prism

PRISM

1977

和田アキラ

E-2

Love Me

PRISM

1977

和田アキラ

■濃密なLIVE

PRISMデビュー30周年という、とても記念的なライブが行われた。
普通ならば昔のメンバーが集まり、なつかしいな・・・で終わるはずだったのかもしれない。
しかし、この日のライブはとても濃密で、そしてまた強烈な印象を残してくれた。

■歴代のキーボード奏者
キーボード奏者が変わるバンドはいくつかある。しかし、キーボード奏者によって顕著にサウンドが変わるバンドはあまり多くない。
PRISMも何人ものキーボード奏者が去来した。サウンドとしてはどうだったのだろう?
その答えはこのライブで如実に現れることとなるのが、今回のライブの凄かったところだ。
久米大作、佐山雅弘、新澤健一郎・・・このLIVEにおいてPRISMキーボード奏者のミニ歴史が垣間見ることができた。
デビューからPRISMサウンドの礎を築いた久米の奏法は、広義な意味でPRISMだけにとどまらない。
それは先駆者として、Fusionキーボード奏者の道標を創ったと思う。
今になってはポンタBOXのピアニストとしての方が有名になっている佐山も、かつてはPRISMの一員だった。
その佐山がPRISMに在籍した期間はとても短い。なのに残した演奏、曲は印象に深く刻み込まれている。
そして現在のPRISMをサポートする新澤は、新しい世代の代表として、更なる世界をクリエイトし続けている。
特に新澤のキーボードの使い方は斬新で、これからのFusionキーボードに新たなサウンドへの可能性を感じてさせてくれる。
そんな3人のキーボード奏者が集まった今回のライブ。
単なる顔合わせだけには終わらなかった。そしてそれこそが凄いパフォーマンスを聞かせてくれた。
そういうことが出来るということでも、PRISMというフィールドとしての器の大きさをも感じてしまう。

■ライブ
14曲目(ゲスト 久米 中島 中村)
1曲目は風神でLIVEの幕が落とされた。PRISM3人(和田、木村、岡田)に加え、ゲストの中島、久米が加わる。
なかなかトロピカルな演奏で、始まりはゆっくりでやや気だるい印象があるが、それは嵐の前の静けさ。
木村が演奏にカツをいれるかのようにドラムが激しくなると、演奏が高揚し始める。
Tornadoでも和田のギターが冴え渡り、高速フレーズなどよく回る指にワクワクしてしまう。
和田のギターが荒々しく咆哮し、岡田のベースがうねり、木村のビートとあいまって一丸になる。
あぁ、PRISMの演奏が今目の前で繰り広げられているのだ。
Dancing Moonで中村のSaxが加わると、一転してライトなPRISMの姿が浮かび上がる。
Chrystal Nightもラテン調でなかなか楽しい。ここでの久米のローズ・ソロがすばらしい。
フェンダー・ローズってこんな豊かな音色だったんだと、改めて感心してしまう。

57曲(ゲスト 佐山 中島)
Full Moonは印象的なピアノ・フレーズから始まる。
考えてみればこの曲は、ここまでピアノがアコースティックに響き、そして演奏をリードするあたり、PRISMの曲の中でも印象的でやや異色ではないだろうか。
そして複雑なリズムが交錯するUpside Downもなかなか楽しい。
木村は「胸突き八丁」と表現していて、変拍子で難曲であるはずが、彼らにかかると全くのノーミスでしかもノリまであるのはさすがにTOPミュージシャンの貫禄であろう。
Karmaでは、ここでも和田のギターが炸裂する。

810曲目(ゲスト 新澤 中島 中村)
Shadow Of the Jungle gymでは木村が前に出て小さなドラムを叩く。
Fusion史上ドラムが前に出てくることは非常に稀だ。あたかもZEPのアコースティックセットを思い起こす。
この曲での新澤のキーボード・ソロがリリカルでまたジェントリーな響きを聞かせてくれる。
歪んだ和田のギターがハードロックを思い起こす、Memory Of the Moment
このあたりはプログレッシブ・ロックの香り高い演奏に思うし、それ以上の演奏レベルとメロディを感じる。
ここで新澤のMOOGソロが更にプログレ・ライクな演奏に拍車をかける。
Memories Of Youはまたなかなか泣きを聞かせた曲で、とても心に染み入る感じがする。
曲のイントロにおける、中村のSAXと新澤のキーボードの掛け合いがまた泣かせてくれる。

11曲目(キーボード 久米 佐山 新澤 中島 中村)
Beneath The Seaこそが、このライブのハイライトだったと思う。
演奏は途中でJazz4ビートになるが、これがなんとも凄まじい。
岡田のベースが4ビートでなかなかスイングし、まるで流れるようなベースワークに惹きつけられてしまう。
それからゲスト・キーボード3人のソロのかけあいがまた魅力的で、いつまでも続いて欲しいと思ってしまう。
そしてハイライトに和田の4ビートによるギター・ソロもすごい。
こういうソロは和田には珍しいが、PRISMJazzとは「こうだ!」とばかりにハードな演奏だ。

12曲目(ゲスト 佐山 新澤 中島)
新曲の絆・・・なかなかドラマチックな演奏である。
LIVEでは初めて聞く曲なのだが、なにか初めてに思えない、心にくいメロディがステージ栄えする。
PRISMの数々の名曲に混じっても遜色ない曲である。
新作でもこれほどフレッシュな曲をクリエイトするPRISMには頼もしさすら感じる。

○アンコール1曲目(ゲスト 新澤)
最初のアンコールはなんとPRISM。木村もMICで「よりによってこの曲が・・」と言うのもわかります。
まったくもって和田のギターが速い、速い。めぐるましいフレーズの応酬。
この一丸になった演奏は何度聴いてもスリル満点です。

○アンコール2曲目(ゲスト 久米 佐山 新澤 中島 中村)
最後の締めは、Love Me
キーボード3人の掛け合い盛り上がる。これだけのキーボードの競演は記憶に無い。
よくある顔合わせだけでただ音を出すだけの掛け合いだけでなく、3者が持ち味を出しつつも音楽的な遊び心溢れるソロ回しだ。

■総評
今回も聞き応えがあるLIVEで、あっという間に時間が過ぎてしまった。
それというのも、どの曲もハイライトと言って良いような充実したものだったからだ。
特にゲストの入り方が巧みで、飽きる間も無くまた次の展開という構成が、聞くほうも最後まで集中力を切らさなかった。
そしてPRISM デビュー30周年おめでとうございます。
運良く25周年の時も取材して、あれからまた5年過ぎたことになります。
その5年間の間にも新譜が6枚(発掘LIVE含む)、DVD1枚・・・だなんて。
30周年を迎えながら、ここまでアクティブなバンドは、どのジャンルを含めても稀有ですよね。
これからも新譜、LIVEにと、PRISMの活動に期待してしまいます。
そして今回のLIVEは、ずっとカメラが回っていました。
どうやらLIVE DVDとして発売される予定だそうです。
今回のLIVEも凄かっただけに、見ごたえタップリのDVDだろうと想像に難くありません。
30周年で一区切りかと思ったのですが、区切るどころかまた次に進みだしているということでしょうか。
DVD発売・・・待ち遠しいですね。(TKO
REPORT
TKO

PHOTO
アスワン



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