T-SQUARE
Tour 2005 "Passion Flower"



T-Square:
河野啓三 (keyboards)
伊東たけし (sax, EWI, flute)
坂東慧 (drums)
安藤まさひろ (guitar)
サポート:田中晋吾(bass)

東京:メルパルクホール 2005.07.03


Passion Flower
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新アルバムを引っさげてのツアーもとうとう最終日。
新アルバム「Passion Flower」はなかなか気持ち良い作品だっただけに、このLIVEは楽しみにしていました。
それよりも新メンバー・・じつはこのメンバーでのLIVEはCrossover Japan2005で見たのが初めて。
その時のパフォーマンスに感服して、その場で新譜を購入したのです。
そして、これはフルLIVEを見なくては!と意気込んでいました。

ステージはなかなか凝ったセットが組まれていて、さすがにT-Squareはオシャレですね。
メンバー登場と共に大きな拍手。最初から飛ばすかと予想してましたが、前半は新アルバムが中心。
この新アルバムは、本当に気持ちよくなる作品で、観客はじっくり聴いていたようです。
"Surfin U.S.S.R"では、安藤がレトロな・・・まるでベンチャーズが使っていたモズライトみたいなシェイプのギターを弾いてました。
このギターを使用したのはこの曲だけなので専用なのでしょうが、乾いたトーンでなかなか印象的です。

坂東慧
それと坂東の曲"Cloudburst"では、ドラムだけでなく作曲の才もあるのかと驚きました。
なんせT-Squareに楽曲提供し、それも安藤、伊東の曲と並んでCDに収録され、LIVEでも演奏されるだなんて。
これは若干20歳そいこいらにしては凄いことだし、只者ではないものを感じます。
意外なことに、この曲はドラムがあまり目立たないのですが、Totalな意味での作曲家としてこちらの才能も今後どうなるか楽しみです。

また河野のキーボード・ソロはシンフォニックで壮大でした。
例えるなら、リック・ウエイクマン(元YES)を彷彿してしまいます。
エレクトーンを使用するというのを聞くと異色に思えるが、現在はエレクトーンと言ってもシンセサイザーと一緒だし、なによりもこの演奏を聴けば固定観念はぶっ飛んでしまいます。

河野啓三/伊東たけし
坂東と田中のドラム&ベース・ソロは圧巻の一語に尽きます。
ここまで若い2人なのに、出てくる音は超絶過ぎます。
田中のベース・ソロはテクニカルではあるのですが、技巧だけに陥ることなく、むしろ気持ちと音楽性が勝っていて好感が持てます。
それも田中のベースは何かエッジが立っていると言いましょうか。通常ベースは”ドッドッドッ”と聞こえるとすると、田中のベースは”ガッガッガッ”という、なにかカッコよいトーンに聞こえます。
これはもしかしたらFunkのノリなのではないか、なにかFunkyな香りを感じました。

対して坂東のドラミングは驚異的であり、あたかもジャック・デジョネットを思わせるような重厚でダイナミックなソロには参ってしまいました。
特にドラム・ソロなのに音楽的によく構成されていて、低音部分のフロアタムが印象的に、今まで聞いたことのあるドラム・ソロとは一味も二味も違った、非常に個性的なドラム・ソロです。
途中、スティックを手の中でクルクル回しながらのシンバル連打・・・・あれはソニー・エモリーの得意な超難技・・・それをマスターしてるなんて驚きです。

そしてこのドラム・ソロを境に、後半はT-Squareのヒットパレードになります。
観客総立ち状態でノリの良い演奏が繰り広げられました。

安藤まさひろ/伊東たけし
バラードにおける伊東のSaxにも感嘆してしまいました。
伊東は昨今EWIなどのテクノロジーのイメージがありますが、Saxの生トーンも非常に素晴らしく、Fusionにしては固めな音色で、それでいて柔らかなメロディが流れ出します。
やはり、伊東のSaxは素晴らしいなぁと思わず聞き耳をたててしまうんです。
ソロの途中で、Miles Davis"ジャン・ピエール"のテーマが一瞬覗かせるところなんかのけぞりました。

また、安藤のギターワークも本当に凄いです。T-Squareというと曲があまりに良いために見過ごしてしまいがちですが、やはり安藤の技は見逃せません。
特にストラトキャスターは安藤に一番マッチするような感じでソロが素晴らしく、本当によく歌っていました。
また流れるようなフレージングには、やはり第一人者だよなぁと今更ながらに感慨を覚えます。

演奏が終わっても観客の怒涛のアンコールが鳴り止まず・・・。
安藤まさひろ
アンコールで2曲演奏し、再びメンバーがバックステージに消えて、しかも客電がついてもアンコールが鳴り止まない。
そして2度のアンコールに答えるように名曲Truthでコンサートを締めくくるかと思いました。
これで終わるだろうと思ったのですが、なんと3度目のアンコールも・・・・いや、今回の盛り上がりは凄まじいものでした。

流石にT-Squareのステージは貫禄そのものだという気がします。
それと若手のリズムセクションに切り替えたのは、心機一転とか若手にチャンスをとかいう話ではなく、まさに現在T-Squareとして最適なメンバーなのだなということがわかりました。
今回のLIVEはビデオ録画され、BS放送、そして11月頃に発売予定のDVDに納められるらしいです。
また今回のメンバーで新たに録音された「Truth」が9月発売予定のF1関連のコンピレーション・アルバム「Grand Prix 〜Eternal TRUTH〜 」収録されるとのことです。
これまでもT-Squareは素晴らしい音楽を創ってきましたが、きっとこれからもという期待・・・・それがこれからもという実感へと変わった一夜でした。(TKO)

Set List

01.Triumph
01.Let Your Love Flow
03.Barefoot Beauty
04.Sabana Hotel
05.Surfin' U.S.S.R
06.Cloudburst
07.Catcher In The Rye
08.Teasin'
09.Keybord Solo〜河野新曲(Duo)
10.Pioggia Di Capri
11.Drum & Bass Solo
12.High Time
13.Future Maze
14.Scrambling
15.明日への扉

Enc.1
01.Forgotton Saga
02.Knight's Song

Enc2.
03.Truth

Enc.3
04.Little Mermaid



河野啓三/坂東慧 T-S ツアーへの抱負

Photos courtesy from Village Records
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