Santana/Hancock/Shorter
Emissaries For Peace: The Japan Tour
Live Report



Carlos Santana(guitar)
Herbie Hancock(keyboards)
Wayne Shorter(sax)
Andy Vargas(vocals)
Tommy Anthony(guitar)
Chester Thompson(keyboards)
Benny Rietveld(bass)
Dennis Chambers(drums)
Karl Perazzo (timbales and congas)
Bill Ortiz(Trumpet)
Jeff Cressman(Trombone)
Lionel Loueke(guitar/vocal)

大阪フェスティバルホール 2005.07.31

Set List
1. JINGO
2. I AM SOMEBODY
3. AFRICA BAMBA
4. SAFIATOU
5. DAY OF CELEBRATION
6. VICTORY IS WON
7. CONCERTO / MARIA MARIA
8. FOO FOO
9. OUR PRAYER /YALEO /BENNY & DENNIS SOLO
10. WAYNE AND HERBIE SOLO
11. IN A SILENT WAY/ IT'S ABOUT THAT TIME
12. NOVUS
Encore
13. APACHE/SMOOTH/DAME TU AMOR
14. A LOVE SUPREME

広島、長崎への原爆投下60年目を迎えるにあたって世界に平和を訴えるためのジョイントコンサートとして日本5ヶ所をまわるスペシャル・バンドとしてサンタナ、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーターのツアーが実現した。

サンタナとハービー・ハンコックといえば思い出されるのが、1981年のライブ・アンダー・ザ・スカイでの共演、「Swing of Delight」のレコーディングで、この時はロン・カーター、トニー・ウィリアムスのジャズ系のリズムセクションにサンタナがゲストで加わるといったバンドだったが、今回はその逆でサンタナのレギュラーバンドにハンコックとショーターがゲストで加わっているような編成だった。

コンサートは3人の平和へのメッセージがビデオを流されたのに続いて幕を開け、前半はサンタナの最近のレパートリーを中心に数曲続けて演奏された。
ハンコックとショーターも最初からステージに登場しているのだが、それぞれ2回づつソロを取った以外はほとんど何もしておらず、かなり手持ち無沙汰な様子だった。
2回づつソロは、ハービーの方はクラビ系のソロはまあまあだったが、アコースティック・ピアノでのソロはサンタナバンドの音とマッチしていなくてかなり違和感があった。ハービーはモード系の展開ですぐにフレーズがアウトしていくのだが、サンタナバンドのラテン系のかっちりしたコード進行の中でアウトしてしまうとホントに不協和音だけが目立ってしまって妙に聞こえてしまい、すぐに戻ってくるという中途半端なソロだった。
ウェインにいたっては、がちがちに固められたコード進行と隙間のないリズムの中では自分の吹くスペースが見つけられないといった様子で形ばかりに音を鳴らしたといっただけのソロだった。

サンタナがアコースティック・ギターに持ち替え「アランフェス協奏曲」を弾き始める。この曲を聴くと条件反射のように「Spain」を連想してしまい「えっ!?ハンコックとショーターでスペインか??」と思ってしまったが、アランフェスに続いて始まったのはサンタナの大ヒット曲「Maria Maria」だった。ここで観客は一気に総立ちとなり、一番最近のアルバム「Sharman」からの「Foo Foo」へと続いていった。これが前半のクライマックスで、ベースとドラムを残してメンバーは一旦ステージから下がってベースソロ、ドラムソロへと移っていく。
ドラムソロではデニス・チェンバースが脅威のパワーを見せつけてくれた。特にソロの後半に見せたバスドラを高速連打しながらのプレイは驚愕物であった。

そしてハンコックとショーターによるデュオの演奏。
ここでは先ほど欲求不満気味のソロをやっていたのが嘘のように活き活きとした演奏を聞かせてくれた。特にテーマなど決まっていないようなのだが、長年活動を共にしてきている2人だけに阿吽の呼吸でお互いの演奏を確かめながら自由に演奏を展開させていた。
たった2人だけでこれだけ空間の拡がりを感じさせるような演奏ができるんだと感心させられた。

デュオ演奏のあとサンタナバンドのメンバーがステージに戻ってきて始まったのが、何とマイルス・デイビスの70年代の曲「In A Silent Way / It's About That Time」。
ハンコック、ショーターともマイルスのアルバム、「In A Silent Way」に参加していたメンバーだ。
まさかこのメンバーでこんな曲が聞けるとは全く想像していなかったので嬉しいサプライズとなった。ハービー、ウェインはモード系のこの曲ではサンタナバンドと一緒でも前半とは全く違う生き生きとしたソロを聞かせてくれたし、サンタナはお馴染みの泣きのギターとは一味違う、マクラフリンのようなフレーズを弾いていた。
この曲でバックのホーン・セクションから主役の位置に置かれてしまったのが、トランペットのビル・オーティスだった。マイルスっぽい音数の少ない空間を利用したようなソロをするのかなと思っていたら、反対に音数の多いパワフルな彼の個性を主張するようなソロだった。

アンコールではサンタナの「Super Natural」から大ヒット曲「Smooth」で、会場を大いに盛り上げたあと、これまたサプライズのジョン・コルトレーンの名曲でジョン・マクラフリンとの競演盤「Love Devotion Surrender」の再演となった「Love Supreme」でこの日の盛りだくさんなステージを締めくくった。 (橋 雅人)

Super Natural
Santana
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Shaman
Santana
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Love Devotion Surrender
Santana
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Swing of Delight
Santana
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In A Silent Way
Miles Davis
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