TVやCM出演など話題ばかりが先行している感のある上原ひろみだが、活動の拠点をボストンに置いているためか、まだ生の演奏に触れられる機会は少なく、筆者も今回が初めての生上原体験だった。
そのステージはプログレ系ジャズロックとも言えるようなオープニングの「xyz」からトリオとは思えないパワー全開の演奏でスタートした。
続いて演奏されたバラード「If」のちょっとジョー・サンプルを思わすところがあるようなメロディーラインの美しさは作曲能力の非凡さを感じさせてくれる。粒立ちのいいピアノの音色、ピアニシモから椅子から立ち上がって叩きつけるように弾くフォルテシモまでのダイナミックレンジの広さも圧巻だ。
最後を飾ったタテノリ系ファンクナンバー「Kung-fu World Champion」で聞かせてくれたバンドと一体となった凄まじいまでのスピード感も爽快だった。
約40分でオリジナルを4曲だけという集約されたステージ構成の中でもしっかりと上原の個性を見せてくれた演奏だった。
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