Pat Metheny Trio
Live Report
Christian McBright(b) Antonio Sanchez(ds) 2003.12.20(土) 東京 Blue Note Toyko 1st Set 昨年のPMGに続き、2年連続となるパット・メセニーの来日ライブは新トリオの日本お披露目になった。 このトリオでの新譜はまだ出ていない。なので、どういう音楽を演奏するのか未知数だった。 予想ではクリスチャン・マクブライドがいるからには、ロイ・ヘインズ、デイブ・ホランドとのトリオのような4ビートでスイングするJazz・・・・という のは見事に外れた。 このトリオは基本的にPat Metheny Groupとは違う音楽をやると言う事には違いないだろう。 しかし、これまでのトリオと違うのは4ビートJazzをやるためではなく、むしろPMGのようにメセニーの音楽を実現するための別フォーマットであると考 えて良さそうである。 まずメセニーは一人でステージに上がると、生ギター1本で演奏を始めた。 これは今年発売された「One Quiet Night」からの演奏メドレーである。 ノラ・ジョーンズの"Don't Know Why"やまさにメセニーといった曲を続けざまに演奏していった。 この生ギターの音が最高に良かった。実は自分は他人の生ギター演奏を聞いて、音が良いと感じることはまれである。しかし、今回ばかりは本当に良い音だなぁ と心の底から感じてしまった。 それは今回のBN東京は距離も近いゆえに、音だけでなく、音の振動を感じることができたからかもしれない。 メセニーのソロ・ギターはそれほど難しいことをやってるようには見えなかった。 でも、難しそうには見えなくても、実は高度なことをやっているということは良くあること。 考えてみれば、ここまで響き良く鳴らしたギターはメセニーでないと聞けないかもしれない。 そう思って聞くと、メセニーのギターが本当に心地よいものになった。 それからサンチェス、マクブライドが参加してトリオ演奏になる。 演奏曲はほとんど新曲である。新曲と言っても、聞けばすぐメセニーだなとわかる。 ただ、新曲ばかりというのは聞いていて非常に疲れる。 メセニーの良く知られた曲があれば、精神的に一息つけるのだが、なじみのない曲が続くと息をつく暇もないからだ。 CDで予習できていれば別だが、行ったコンサートで初めて聞く曲ばかりというのはツライ。 もちろん、キース・ジャレットのように全て即興など予習できないタイプの音楽もあるが、少なくともメセニーのコンサートがその類となるとは予想できなかっ た。 ただ、このトリオでの演奏は非常に高度である。これはちょっとやそっとのセッションでできる音ではない。 それに4ビートのウォーキング・ベースが身上と思っていたマクブライトが、このトリオのメセニーMUSICの一翼を担っているのだ。 売れっ子でそれほどリハーサルが取れるとは思えないマクブライドだが、ここではなかなか健闘しているように感じた。 場面によって弓を使ったボウイングもなかなか良かった。 それとアントニオ・サンチェスのドラムは驚異的だ。きっとメセニーはサンチェスの才能を見込んで、このトリオを組もうと考えたのではないだろうか。 僕も このサンチェスをPMGだけでなく、その本領を更に発揮した形で聞いてみたくなっていたもの・・。 また、演奏で特に心奪われたのは、メセニーが久々に弾くエレキ・シタール・・・・あるパターンが繰り替えされ、それほど音に起伏が無いのだが、それが永久 に続いて欲しいと思うほどの心地よさだ。 LIVEは非常に充実したものであったと思う。ただ、それだけに今回は聞き手としての自分の準備不足が残念に思った。 これだけの演奏をするのであれば、できれば事前にこのトリオでの新譜が出てくれていれば、それで予習もできたであろうに・・。 これまでメセニーのLIVEにおいて、何か聴いたことの無い新しい音楽を聴く、というシツエーションは無かった要素である。 でも、今回のLIVEによって、そんなメセニーのいつもと違う一面を見られたような気がした。(TKO) |
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