Michael Brecker(tenor sax) Adam Rogers (e.guitar) Joey Calderazzo (piano) Chris Minh Doky (a.bass) Clarence Penn (drums) Kuumbwa Jazz Center, Santa Cruz, CA, U.S.A. 2003.10.06 |
カリフォルニアのシリコンバレーから車で1時間くらい南に下った海辺の小さな街、サンタクルーズでマイケル・ブレッカーのライブを見る機会に恵まれた。 会場となったKuumbwa Jazz Centerは地元のNPOが主宰するジャズクラブというか小ホールで200席ほどのパイプ椅子を並べた程度のこじんまりした場所だった。値段は1ステージ21.50ドルと格安でNPOということで大口の寄付をしたメンバーのための指定席が設けられていたが、開場の3分前に到着したにもかかわらず、あっさりと一番前のほぼ中央の席を確保することができた。一番前の席が空いているのに後ろで立ち見の人が結構いたりとここの人たちはあまり前のほうに座りたがらないようだった。 会場に入るとまだドラムスやギターアンプなどはステージに置かれているだけでセッティングされておらず、しばらくするとバンドのメンバーが現われ始めて自らセッティングをしていた。メンバーの中で最後に現われたマイケル・ブレッカーは6日間続いた西海岸ミニツアーでさすがに少々疲れた様子だったが、おもむろにステージ上に現われモニターのサウンドチェックだけを簡単にしていた。客の前でサウンドチェックをするというのはあまり日本ではお目にかかれない光景で結構おもしろかった。 演奏の方はアメリカでもニューアルバム「Wide Angles」が発売された直後だったが、「このツアーはニューアルバムの企画を立てる前に、クインテットで行うことが決まっていて、ニューアルバムの曲ができないので古いレパートリーばかりやるよ。」といって始まり、セットリストをご覧の通りドン・グローニック作曲の「Cost Of Living」や「Nothing Personal」など懐かしめの曲を披露してくれた。 マイケルは演奏が始まるとステージ上では疲れた様子は微塵も感じさせず、いつも通りのパワー全開のハードブローを聞かせてくれていた。このあたりのプロ根性はさすがだと感心。 「Wide Angles」で好演していたアダム・ロジャーズはこの日もゴリゴリとメカニカルなフレーズの断片でソロを組み立てていくという手法で独特の雰囲気を醸し出していた。 また「Cost Of Living」や「Nearness Of You」といったスローバラード系の曲ではワウ・ペダルなどのエフェクターを駆使して味のあるバッキングを披露してくれ、彼の別の面も見ることができた。 またマイケルのいつもと違う面を聞くことができたのは2セット目に演奏されたバラードナンバーの「Nearness Of You」だった。アルバムではジェームス・テイラーのヴォーカル入りの曲だが、この日はヴォーカルがとっていたメロディーラインをマイケルが吹いていくというアレンジだった。ライブでは常にと言ってもいいほど思いっきりブローして盛り上げてしまうマイケルだが、この曲ではめずらしくかなり軽めに流すような演奏で、音色にいつもとは違った色気が加わり、一昔前のスタジオワークでの演奏を彷彿させるような雰囲気がでていて新鮮で楽しく聞くことができた。 そしてこの日のステージの最後を締めくくったのはコルトレーン・ナンバーの「Giant Steps」。ボブ・ミンツァーとの共演盤「The Saxophone featuring Two T's」で演奏されていたようなアレンジだったが、複雑なアレンジになっているようで終始譜面を見ながらの演奏だった。 個人的にはライブでこの曲を耳にするのは始めてで「Giant Steps」の独特のコード進行でのマイケルのソロの展開はさすがと思わせるものがあった。 終演後マイケルから聞いた話では来年2月にニューアルバム「Wide Angles」のラージアンサンプルを日本人バンドで再現する日本公演をブルーノートで行うことが決まったそうで、今からとても楽しみだ。(橋 雅人)
Set List
2nd set |
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