Michael Brecker(Tenor Sax) Herbie Hancock(Piano) Roy Hargrove(Trumpet) John Patitucci(Bass) Willie Jones III(Drums) 大阪フェスティバル・ホール 2003.02.19 |
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マイルス・デイビス、ジョン・コルトレーンの生誕75周年企画として2001年のアメリカツアーに始まり、2002年のヨーロッパツアーを終え、2003年になってやっと実現したDirections In Musicのアジアツアー。香港や韓国をまわってきてその最終日となる大阪公演を見てきました。公演中にマイケル・ブレッカーがMCで言っていたところによるとDirectionsとしては、しばらくはこれが最終公演になるようです。 会場の大阪フェスティバルホールは70年代は東京の日本武道館より音響がいいということでマイルス・デイビスの「Agharta」、「Pangaea」など数多くのLive in Japanアルバムがレコーディングされていたホールでもあります。ハンコックもMCで昔,何回もここで演奏したことがあると言っていました。(私自身もこのホールに行くのは20年振りくらいでした。) ドラマーはCDに参加しているブライアン・ブレイドではなく、去年のヨーロッパツアーに参加していたウィリー・ジョーンズでした。 定刻から10分ほど遅れてCDと同じように「The Sorcerer」から幕を開けます。しかし音量がかなり小さいです。座っていたのは前から8番目でそんなに悪い席じゃなかったのですが、集中して聞く努力をしないと細部が聞こえないような音量でした。 それともうひとつ辛かったのはコンサートの間中、あちこちで咳をしている人が多かったということです。クラッシクのコンサートでもないので、咳くらいしてもいいのですが、演奏の音量が小さかったのでやたら耳障りでちょっと興ざめでした。 とは言え、1曲目の後半のソロからマイケル・ブレッカーはしっかりエンジンがかかっています。全体に音量が小さいライブの中でブレッカーのソロの低音部でのフラジオだけがホール全体を包み込むようなもの凄いパワーで響き渡っていました。 トランペットのロイ・ハーグローブは生で見るのは初めてだったのですが、かなり背が低い人でした。その分、背筋をピンと伸ばして姿勢はよいのですが、長身のブレッカーの横に立つと余計に小ささが目立ってました。演奏のほうは、よく楽器も鳴って張りのある音を出していたのですが、ハンコック、ブレッカーと対等に渡り合うにはまだちょっと物足りないというか、個性が足りないように感じました。 曲目はCDと同じように進行していき、「So What」ではパティトッチのソロがCDよりもたっぷりと聞けました。2002年8月の東京ジャズでみたパティトッチは今ひとつ影が薄かったのですが、今回のパティトッチは全体を通して存在感がある演奏でした。 「Impression」に続いて「Misstery」が終わるとステージ上はブレッカー一人になります。そしてこのコンサートのハイライトともいうべきブレッカーの無伴奏ソロによる「Naima」が演奏されます。CDや東京ジャズの時の演奏に較べるとこの日は音数少なめでしっとり目の演奏でした。もちろん後半になり盛り上がってくるとお得意の高速アルペジオフレーズがでてくるのですが、スピードと力で圧倒するというよりは、フレーズの流れを聞かせようというような演奏でした。ワン・パターンに陥らずに毎回ソロでこれだけ変化に富んだ演奏をしてくれるのは見事です。 この日のステージはブレッカーがコルトレーンをイメージして作ったという「D Trane」で一旦幕を閉じ、アンコールではハンコックがマイルス・デイビス・カルテットに在籍していた時のアルバム「Nefertiti」に収録されていたウェイン・ショーターの曲「Pinocchio」が演奏されました。ショーターの曲を二管で演奏されているのを聴くとなんとなくVSOPを連想してしまいました。 終わってみるとCDと同じ曲目+アンコールで計2時間15分ほどのステージでした。CDでは80分に収められているので、CDよりもかなり長い演奏になっていたようです。(おそらくCDは曲によって編集されているのでしょうか?)この前日の東京公演は2時間ちょうどくらいだったと伝え聞いているので、ツアー最終日ということで気合は入っていたようです。 全体を通して楽しめたのですが、欲をいえばこういうアコースティックなバンドはホールではなくてもっと狭いジャズクラブで聞けたらはるかにいいだろうなと思ってしまうステージでもありました。(橋 雅人)
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