Norman Brown 2002 Live Report



ノーマン・ブラウン/Norman Brown(Guitar)
ゲイル・ジョンソン/Gail Johnson(MD/Keyboards)
アロンゾ・パウエル/Alonzo Powell(Drums)
ジェイムス・マニング/James Manning (Bass)
ブライアン・シンプソン/Brian Simpson(Keyboards)

大阪ブルーノート 2002.10.19 The 2nd Show


アメリカのスムース・ジャズ・シーンを代表するギタリスト、ノーマン・ブラウンのステージを見てきた。日本での知名度はまだまだなので、知らない人も多いかもしれないが、ジョージ・ベンソンの影響を受けたようなオクターブ奏法を多用するスタイルでポップでキャッチーな音を聞かせてくれる黒人のギタリストだ。またベンソンお得意のギターソロとヴォイスのユニゾンも同様に聴くことができる。ただベンソンほど歌いたがりではないようなので、もっとたっぷりギターが聴けるのと、ベンソンの音がクールに決めようと頑張ってはいるのだが、どうも演歌(?)のような泥臭さが残るのに比べて、ノーマン・ブラウンは世代が若いせいかもっと洗練されていて軽快かつスピーディーだ。

バックバンドが先にステージに登場した後にイバニーズのフルアコを手に現れたノーマン・ブラウンは思ったより小柄だった。
最新アルバム「Just Chillin'」が発表されたばかりだが、ステージでは彼の過去5枚のアルバムから割と古い曲も多く演奏されていく。アンコールを含め約1時間半のステージで途中の2枚目のアルバム「After The Storm」からのメドレーを1曲と数えて計12曲もの曲がほとんどノン・ストップで演奏された。終盤のメンバー全員のソロ回しの1曲が長かった以外はほとんどが1曲数分の長さで早いテンポで次々と演奏されて、観客をあきさせずにひきつけていく。ギターソロも短めで常にファンキーでメロディアスだ。

CDでは軽めの音色で流れるようにスムースな速いフレーズを弾いているが、ライブではCDよりもちょっと太めのラウドな音色でピック弾きのオクターブ奏法を中心にときたまウェス風の親指弾きのオクターブ奏法を折りまぜていた。軽快なフレーズとともに「Out'a Nowhere」、「Just Between Us」など耳馴染みのある曲が次々と演奏されていった。

アンコール以外では唯一のヴォーカル入りのナンバーだったスタイリスティックスをカバーした「You Make Me Feel Brand New」ではキーボードのゲイル・ジョンソンとのデュエットを披露していた。歌があってもなくても全く違和感なく聞けてジャズというよりはインストポップと表現したほうがいいのかもしれない。歌のないブラコンといったところだろうか。

「After The Storm」に収録されていたジャネット・ジャクソンの「That's The Way Love Goes」をインストでカバーしたアンコール前の最後の曲ではステージからおりてギターを弾きながら客席を一周して、途中観客と一緒に踊るいうファン・サービスのパーフォーマンスも披露していた。CDでもこの曲はかなりカッコいいのだが、ライブでの演奏はちょっとラフではあったものの勢いがあってドライブ感満点だった。この人が弾くとただの3連符の繰り返しフレーズでもグルーヴしていてカッコよく聴こえる。

アンコールは先日NHK BSで放映されていた2002年のモントルージャズフェスで、リック・ブラウン、カーク・ウェイラムとの新しいプロジェクトBWBとして演奏していたマーヴィン・ゲイの名曲「What's Goin' On」だった。この曲ではモントルー同様、ノーマン・ブラウンがリードヴォーカルをとり、熱唱し、ベンソンばりのギター、ヴォイスのユニゾンをやりまくっていた。あまり歌に入りこみすぎてベンソンみたいにならなければよいのだけど....。歌も下手じゃないんだけど、やっぱりこのグルーヴ感溢れるギターを中心にずっと聞かせてほしいものだ。

と、いうわけで1時間半という長めのステージが短く感じられるようなノリがよい演奏で、理屈抜きで楽しむことができた。(橋 雅人)



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Text by Masato Hashi
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