Marcus Miller(bass, saxophones) Dean Brown (guitar) Poogie Bell (drums) Leroy "Scooter" Taylor (keyboards) Roger Byam (saxophones) Michael "Patches" Stewart (trumpet) Lalah Hathaway (vocals) 大阪ブルーノート 2002.2.23(土)2nd セット |
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Mercus Miller | ||
ベースの大御所マーカス・ミラーの自分のバンドを率いてのステージで、大阪での最終日となった23日は11,000円という高めのチャージ料金にもかかわらず1ステージ目、2ステージ目とも満席で立ち見まで入っていた。相変わらずマーカス人気は高いようだ。 まず1曲目はマイルス・デイビスで有名な「So What」から始まる。マーカスのベースがテーマのフレーズを奏で、サックスとトランペットの2管が決めのフレーズを吹くというカッコいいアレンジだった。 このあと、去年リリースされた「M2」からの曲で「Nikki's Groove」や1984年にマーカスがプロデュースしたデビッド・サンボーンのアルバム「Straight to the Heart」に収録されていた「Run For Cover」などが演奏されていく。「M2」同様、マーカスのベースを前面に出したアレンジで、マーカスならではの重いのに輪郭がはっきりしたベース・サウンドを充分に楽しませてくれる。 ちょっと意外だったのはこれらの結構音圧のある曲でディーン・ブラウンがエレアコのギターを多用していたこと。それも普通の弾き方ではなく、ボトル・ネックを使っている上にかなり音を歪まして演奏していた。、ギター・ソロもそのままエレアコでボトルネックを指にはめたまま演奏し、盛り上がってくるとあのディーン独特の引きつったようなノリで、エレアコをかき鳴らすという変わった音を出していた。またディーンはエレキ・ギターを持ってのワウ・ペダルを使ったバッキングでは最高にファンキーでいい味を出していた。 ステージの中盤にヴォーカルのレイラ・ハザウェイがステージ中央にでてきて、マーカスのベース、プージーのドラムだけをバックにロバータ・フラックで有名な「やさしく歌って(Killing Me Softly With His Song)」を歌い始めた。レイラ・ハザウェイには申し訳ないが、メインの歌よりも、ギター、キーボードのコード楽器なしで、ベースだけでバッキングのバターンを繰り出していくマーカスの技のプレイに耳が惹きつけられてしまう演奏だった。 メンバー全員がステージに戻りレイラの歌をフィーチャーした曲をもう1曲はさんだ後に、エンディングの「People Make the World Go Round」へと突入していく。この曲はマイケル・ジャクソンも歌っていたが、マーカスのライブ盤の「Live & More」に収録されていたもの。しかもここ大阪ブルーノートの録音だったものだ。今回の演奏はCDで聞かれるベース音とは違い、エフェクトをかけてちょっとシンセベースのようにした重厚な音色で、よりへヴィーなものになっていて、バンドをグイグイと引っ張っていた。この曲の終盤のソロまわしの部分はCDよりもかなり長めで気合いが入っていて、特にパッチズ・ステュアートのトランペットの切れ味の鋭いハイノートは際立っていた。(ステージが終わってからパッチズ・ステュアートと少し会話をする機会があったのですが、強面の見かけによらず温厚な普通の人でした。) 一旦「People Make the World Go Round」が終わったあとにアンコールとして始まったのが、「M2」の日本盤のボーナストラックだった「Your Amazing Grace」。マーカス以外のメンバーがステージに戻り、マーカス抜きで演奏が始まったと思ったら、マーカスは客席の後方からバスクラリネットを吹きながら登場した。客席の間を歩きながら演奏して、ステージにあがるとバスクラをソプラノ・サックスに持ち替えて演奏を続ける。マーカスのソプラノを見るのは私ははじめてだったのですが、なかなかのもので、テナー・サックスのロジャー・バイアムとの掛け合いの場面では、サックスが本職のロジャーを完全にくってしまっているようだった。 この「Your Amazing Grace」が終わってメンバーは楽屋に戻り、客席の明かりも点灯されたのだが、盛り上がった客席はおさまらず、2度目のアンコールとなった。今度はスローテンポで聞かせてくれた前の曲とは打って変わってロック・ビートの「Come Together」で客席を総立ちにさせて突っ走り、この夜の大阪の最終日は幕を閉じた。 アンコール2回を含めて約1時間20分のステージだったが、終わっても、まだまだ聞き足りないと感じるほど濃密で圧倒的にパワフルな演奏だった。一言、注文があるとすればサックスのロジャー・バイアムが、このバンドには弱すぎて物足りなかった。従来のこのバンドのメンバーであるケニー・ギャレットかエベレット・ハープなら文句なかったのだが。(橋 雅人) |
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