David Sanborn(Sax)
Ricky Peterson(Keyboards) Richard Patterson(Bass) Don Alias(Percussion) Oliver Gene Lake(Drums) 大阪ブルーノート 2001.12.14(金)2nd セット |
デビッド・サンボーンは1999年の「Inside」から2年あまりも新作を出していないし、去年の来日はジョー・サンプル、リチャード・ボナ、ブライアン・ブレイドとのプロジェクト・バンドだったため、最新のサンボーン・バンドはどんな音になっているのだろうと期待してでかけた今回のライブだった。(そう言えば一番最近、サンボーンを目にしたのは、テレビで放映していたNYテロのチャリティー番組でビリー・ジョエルのバックで吹く姿だった。) オープニングは,他のサンボーン以外のメンバーが先にステージに上がり、音を出し始める。キーボードのリッキー・ピーターソン、パーカッションのドン・アライアスはもう近年のサンボーン・バンドの常連だし、ジーン・レイクは「Inside」にも参加していたドラマーだ。ベース、ギターの二人は初めて見るような気がする。ギタリストのニッキー・モロキはサンボーン・バンドの常連ギタリスト、ディーン・ブラウンに似たような風貌をしている。マイク・スターンといいギタリストに多い風貌なのだろうか?(わかる人はわかると思うが長髪の顔が隠れるようなボサボサ頭なのである) そしてサンボーンがステージに登場して始まった曲は「Chicago Song」だった。 今まで耳にしていたこの曲から、かなりリズムの雰囲気が変わっているので、テーマをサンボーンが吹き始めるまで「Chicago Song」だとわからなかった。この曲といい、次に演奏された「Relativity」といい、バンド全体がジャム・バンド系のグルーブになっているように感じられた。うねるように続いていくリズムをバックにサンボーンが気持ちよさそうに吹いていき、かなり音量の大きなバンドなのだが、その中でもサンボーンの音色がくっきりと際立って聞こえてきて心地よい。(「Relativity」のソロの中でサンボーンが「Some Skunk Funk」のテーマを吹いたのは思わずニヤリとしてしまいました。) 今回リズム隊の中で、目だっていたのが、ベースのリチャード・パターソンだった。アクティブ系のピックアップを使ったマーカス系の重低音で、ジャコ系の粒の揃った音数の多いバッセージでリズムを繰り出し、バンド全体を引っ張っているように感じられた。サンボーン・バンドといえばマーカス・ミラーの印象が強いのだが、それとは全く違ったグルーブを生み出していて、リッキー・ピーターソンのハモンド・オルガンのパーカッシブなバッキングとの絡みは最高だった。このリチャード・パターソンという人、今まであまり記憶に残っていない人だったので、調べてみるとマイルス・デイビスの晩年のツアーに参加していて、「Live Around The World」にフィーテャーされていた。 そしてこれらアップ・テンポの曲にはさまれるような形で「Lisa」、「Lotus Blossom」といったバラードが演奏されていく。これはもうお馴染みサンボーンの泣きのサックスの独壇場だ。「Lotus Blossom」は1978年の「Heart To Heart」に入っていた曲で、同年のあの伝説のニューヨーク・オールスターズの日本公演でも演奏されていたレパートリーで(但し同公演のライブアルバムには収録されていません。)、こんな古い曲をやるとは期待していなかったので、オールド・ファンとしては嬉しかった。 そして「Snakes」でおおいに盛り上がった後にアンコールで演奏されたのは、「Dream」。もう予定調和の世界で、わかってはいるのだが、このメロディーライン、テーマに絡んでいくボイス、泣きのサックスには涙うるうるで参ってしまう。そのシンプルなメロディーのテーマの繰り返しで、盛り上げていき、クライマックスを迎え、ステージは幕を閉じた。最初から最後まで引き込まれっぱなしで、楽しませてくれるライブだった。(橋 雅人) セット・リスト
1. Chicago Song アンコール. Dream |
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