ラルフ・マクドナルド&ザ・ニューヨーク・オールスターズLIVEレポート 

Ralph MacDonald(per),
Lou Marini(sax),
Cliff Carter(key),
Jeff Mironov(g),
Anthony Jackson(b),
Chris Parker(ds),
Robert Greenidge(steel ds),
Dennis Collins(vo),
Nadirah Shakoor(vo)

2000.10.28 東京BlueNote東京 1st Set


  ラルフ・マクドナルドのHAPPYなサウンドはいつ聴いても楽しい気分になる。だから僕は彼の作品は大好きだ。
 だが、果たしてライブではどうなのだろうか? 生演奏でもあの楽しさはあるのだろうか? CDとLIVEは当然違うであろうし、そうでなくては面白くない。
 けれども自分が家でラルフ・マクドナルドのCDを聴くときに、ステレオに対峙してマジメに聴くことはない。普通はBGM専門で本を読んだり、車を運転したり・・・そういうTPOに良く合うので、LIVEが楽しめるか自分には疑問だった。もちろん、期待がそれを上回っているのだけれど。
 

さて、この日のBN東京は曇り、開始直前にちょうど雨が降り始めていた。
客はカップルが多く、整理券の番号の割には良い席が取ることが出来た。マクドナルドはグループで来るよりも、カップルで聴きたい・・・そんなミュージシャンなのかもしれない。

最後まで未定だったSAX奏者はルー・マリニ。なんと、映画ブルース・ブラザース2000にも出演していた人だ。ある意味ではそこにいるどのミュージシャンよりも、とってもメジャーな人だろう。それとベースはラボニエルに代わって、アンソニー・ジャクソンになっていた。

それにしてもニューヨーク・オールスターと銘打つだけにミュージシャンは豪華だ。いままでいろいろなLP,CDで聞けるファースト・コールの人たちがそこに居る。自分はほとんど生では初めて見る人が多かった。ジェフ・ミノロフはナベサダのLPでよく聴いたし、クリス・パーカーはガッドの陰に隠れて地味だがSTUFFのメンバーだ。ただし、彼ら単独で来る事は無いし、久々の来日であろう人もいて、こういう機会でなければなかなか見られない。
 

演奏は「Reunion」の1曲目"Rosa Butts"から始まった。メロディが骨格だけで、リズムが全面に出た面白い曲だ。演奏の最初の1音が出ると、パッとステージが華やかになった。演奏自体はCDとさほど変わらないのだが、生のパーカション音が迫力である。CDで聴くよりも、もっとウキウキする気持ちになる。

新作からの"Good To Go"も楽しいインストゥルメンタルな曲だ。どうも、演奏が進むとマクドナルドの陰が薄くなるのだが、やはりパーカッションは縁の下の力持ちなのだなと思った。

男性ボーカルのコリンズがステージに現れると、新作のタイトル曲TRIPPIN'を歌う。ここでステージがR&Bの雰囲気一色に染まる。そして続くのはおなじみJUST THE TWO OF US。グローバー・ワシントンJrのワインライトに納められた名曲だ。この曲を生で聴くと、そのシットリしたメロディについつい気持ちよくなる。恋人で来たくなる気持ちはよく分かる。

そして、またグローバー・ワシントンJrがらみの曲でMISTER MAGICが演奏される。この曲はグローバーに捧げるとアナウンスされてから演奏された。レイト・グローバー・ワシントンJr・・・こういうアナウンスは1年前だったら予想すらしてなかったであろう。(昨年12月没)しかし、感傷よりも、もういないグローバーだけども、曲を通して心に残り、いつまでも忘れる事は無いだろうなと思った。

それからマクドナルドがちょっとお茶目をした。最前席のお客さんに話しかけ、その頭を借りて(?)、おもちゃのハンマーでパーカッションがわりに叩かせて貰っていた。当然、場内は爆笑。

それに続いて新作のPOTS AND PANSは、おかしなタイトルであるが、LIVEで演奏されて曲の意味がわかった。なんと調理に使う鍋やフライパンなどを打楽器に使うイントロ・・・CDを聴いてるだけではそれはわからない。おおおと感心してしまうのだが、やはり楽しい。

紅一点のシャンクールが登場。元アレステッド・デヴェロップメントのボーカルだとは知らなかったが、これが魅力的な歌声を聞かせてくれた。新作からシットリしたバラードI Could Love You Moreはそれまでの雰囲気を一変させた。
 どうもボーカル曲は観客がついついい聴き入ってしまうのだが、インスト曲の解放感とは正反対だ。でも、ボーカル曲もやはり良い。彼女の唄もなかなか上手いし、いでたちも声もなかなか魅力的に思う。
続くレゲエ調のYou Do Me Soもなかなか素敵だった。最後にマクドナルドが彼女のマネしてたのが受けていた。でも、それは・・・。(苦笑)

アンコールは全員があがり、Where Is The Love・・・これはダニー・ハサウェイとロバータ・フラックのデュオ曲で、コリンズ、シャンクールの息のあったハーモニーが素敵だ。こうして盛り上がってステージが終わった。
 

全体的に歌あり、インストありの、FUSIONなのだが、それよりむしろR&Bのステージといった感じで非常に楽しかった。

 しかし、ラルフ・マクドナルドの最近の作品は日本盤しか出てないようだし、こういうツアーも日本だけなのかもしれない。そうだとすると日本に住んでいて良かった!!と思ってしまう楽しいステージでした。(TKO)
 


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