街角クラブがやってきた
Lo Borges Live Report

ミルトン.ナシメントと共に「Clube da Esquina」'71に発表したLoのライブは初めてでした.もっとも彼の作品を聴いたのもライブの2週間前と,殆ど知らない状態でのぞみました.ミルトンやオルタそしてローのいわゆる「ミナスサウンド」の音は自分でまだ消化出来ず、未知のサウンドです(^^;).その未知のサウンドが今回のライブでぼんやり見えて来ました.サウンドはボサノヴァとかサンバというブラジル色を感じない、ポップス・フォークというサウンドでビートルズの影響を感じました.70年代の欧米の音楽とミナス地方の彼らが持っている音楽性がマッチしたものがミナスサウンドなんだろうな〜..??と思いながらライブを見ました. アンコールでToninho Hortaが参加して「Manuel, O Audaz」のデュオ.Loのヴォーカルの上手さとHortaのギターの存在感がミックスして一瞬、会場が静まり返った感じです. と,Loとミナスサウンドがイマイチ初心者のLive Reportではレポートにならないので専門家をゲストとして招き、じっくり解説して貰いました.(アスワン)

Lo Borges Live Report (97年10月24日〜11月6日 計10日間 於・サバス東京)

ロー・ボルジスと聞いて「知っている」という音楽ファンはいったい日本中にどれぐらいいるのだろうか。ミルトン・ナシメントといえば「知っている」という人は多いのではないだろうか。ローは70年代を中心にミルトンらとブラジルのミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンチを拠点に"Clube da Esquina"という音楽活動をしていたが、その中でも多くの作品を残しており、主なアルバムはミルトンとの共作"Clube da Esquina"(1971)である。曲はフュージョンとは言い難いが、ロック、ポピュラー、フォーク等が混在した、彼独特の音楽であり、むしろジャンル分け不要の、まさに「ローの音楽」なのである。今回の初来日ライヴはそのClube da Esquina時代の曲から始まった。"Paisagem da Janela", "Um Girassol da Cor de Seu Cabelo"(トニーニョ・オルタが自己の3rdアルバム"Diamond Landに"Sunflower"の名で録音),"Nuvem Cigana", "Trem de Doido"など。ローのアコースティック・ギターだけで歌って行く。中盤からは新作"Meu Filme"より、Caetano Velosoとの共作"Sem Nao","Te Ver"(これはミナスのグループ"Skank"の曲だが、まるでローの作品のようにアレンジされている), Pura Paisagemなどを披露。96年に出たこのアルバムは前作から長いブランクを経ての発表であったが、ローらしさを失わず、かつ新鮮な作品である。そのあと「普段家ではボサ・ノヴァを弾くんだ」と言って、マエストロTom Jobimの"Desafinado"を演奏。このアレンジが素晴しく、なんともローらしいヘンなコード進行。こんな"Desafinado"は聴いたことがありません。次にJobimが追悼作となってしまった"Antonio Brasileiro"に録音したローの作品"Trem Azul"を歌ってクライマックスへ。アンコールでは自ら応援するブラジルのサッカー・チーム"Cruzeiro"への賛歌。12月2日に日本のトヨタ・カップでCruzeiroがヨーロッパ・チームと対戦するとのことで、イントロとエンディングを東洋風にアレンジしてかわいらしく演奏。最後にトニーニョ・オルタの十八番、"Manuel, O Audaz"を演奏。10月24日からの4日間は、来日中のトニーニョがローのライヴを見に来ていたので、最後の一曲は友情出演で参加。しかし、ブラジルにいてもローとトニーニョはお互いあちこち飛び回っているので、東京でのこの出会いはロー本人も「奇蹟だ」と言っていた。30年来のつきあいということで、リハーサルもなしで息がぴったり合っていた。トニーニョがギター、ローが歌を担当。この4日間にサバスに来られた人は本当にラッキーだった。今回のライヴはローが一人で20曲を歌い切るもので、本人も歌い終わったあとはとても疲れると言っていたが、毎回精一杯歌っている姿が印象的であった。
(執筆 : ミナス・フリーク兼トニーニョ・オルタ ファン・クラブ・ジャパン会長 笹原 美紀)

トニーニョ・オルタ ミニ・インタビュー

97.10.25 ブラジルのロー・ボルジェスがサバス東京でライブを行った際にTninho Hortaが飛び入りで参加しました.ライブの後に彼とー雑談した内容です.録音機はなく記憶に頼ってますので細かいトコは省略してます.

W0(アスワン:大貫) TH(Toniho Horta)
(WO)次のアルバムはいつ出ますか(JOBINのトリビュー物らしい)
(TH)多分、今年の末か来年早々に出せると思う.
(WO)次はいつ来日して我々を楽しませてくれますか
(TH)3月に瀬木氏のバンドで来る事は決まっている.サバスには来年1月に来日する予定なんだ.
(WO)あなたの2ndアルバムが日本では入手できにくい状況です.再リリースして貰えないでしょうか
(TH)入手できないの!!考えておきましょう
(WO)モスクワのライブの3毎組からあなたの演奏だけ独立してCD化できませんか?E.ゴメスのバンドは独立して出してます
(TH)へぇ〜そうなんだぁ..考えておきます
(WO)アンコールの『マヌエル・オダーズ』一緒に歌いたいんですが日本語で歌いませんか??
(TH)矢野顕子が訳して小野リサが歌うヨ.日本語は難しいからねぇ.歌ってもワンフレーズだけでしょう.
(WO)僕はこの曲をポルトガル語でワン・フレーズだけ歌えます
(TH)どこの部分??
(WO)♪マァーヌエール・オダーズ、 マァーヌエール・オダーズ、ルゥルゥルル....
(TH)がっはっはっは(大爆笑)ルゥルゥルゥ...(と一緒に歌い出す)
............終電の時間になりそろそろ帰ろうということになり....最後に挨拶をしました.
(WO)今日はありがとうございました.来年は是非一緒に歌いましょう
(TH)がっはっはっは(大爆笑)