本田雅人


美芽.
今回のアルバムには2曲本田さんの曲が入ってますね。今回のアルバム用には何曲ぐらいお書きになったんですか?
本田.
20曲ぐらいかな。いっぱい書いたんです。いつも多すぎるって言われるんですけどそれをまったく無視して20曲持っていったんです。
美芽.
本田さんの曲、というと、「キメキメ」系のイメージがどうしてもT-スクェアではあるんですけど。今回はどちらもキメキメというよりは歌いやすい感じのメロディですね。題名は決まりましたか?
本田.
うん。「SAMURAI METROPOLIS」。アニメっぽいでしょ。(笑)
美芽.
それは、本田さんご自身のイメージですか?
本田.
うん、そのイメージをうちのローディーに伝えつつ、話しつつ。あれは絶対「侍」って感じがするっていうんで、でよく考えたらそうかな、って。で、「SAMURAI」だけだとスズキのバイクみたいなんでこんなタイトルになりましたまあもう一個のボサノバの方は・・。なんだっけ。むずかしいんですよ。ポルトガル語で、覚えるの大変なんです。「TRELA ALEGRE(楽しいおしゃべりという意味)」っていうんです。
美芽.
曲名は、できあがってからつけるんですか。
本田.
いろいろありますけどね。もとのイメージは何かしらあるんですけど、曲の作り方としてすごく簡単な話、「何かを見てそれに対して書いてみる」みたいな曲もあるし。そうではなくて、「何か音楽的なモチーフが頭に浮かんであってそれを発展させて作る」曲もあるし。ただ曲を作るのもあるし。そういう意味でのタイトルとのつながりって、違ってきますよね。そのもともとのイメージはある、でもタイトルってただ富士山見て「富士山」でも、イマイチじゃないですか。だからそれはいろいろですよね。イメージがあるにしても、しっかりした題名が最初からついてるっていうのはおかしいじゃないですか。アルバムとしてうまく題名っぽくするという作業は、あとでしますよね。曲によっては、がちゃがちゃしてた今まで書いてたような曲は、イメージももちろんあるんだけども、リズム遊びであったりコード遊びであったりします。そういう「いろいろなことを楽しむ」的な曲の場合は、題名の部分からどんどんはずれていくような部分があるんです。例えばクラシックの昔の人にしたって、「田園」とか「四季」とかついてのもあるけど、「何とか何番」だけの人もいるでしょ。題名が必ずしもイメージになくても、曲ができるっていうのはしょうがないことなんです。それは、曲によりますよね。
美芽.
20曲も書いてると、いつどの曲を作ったかというのもはっきりしなくなることはありますか?
本田.
「いつ」っていうのはわかりますよ。曲名が日付だから。「SAMURAI METROPOLIS」は8月10日。
美芽.
というと、日比谷野音ライブのころですね。
本田.
野音の前ちょっとかな。日にちはわかるんだけど・・・前後何があったころなのかはわからないけれど。「TRELA ALEGRE」は、9月5日です。
美芽.
じゃ、曲作りの時期とか関係なく書きためてあるんですね。
本田.
そうですね。曲は、ずっと書いてますね。とりあえず譜面だけあるのもあるし、電車か新幹線に乗ってて「何か浮かんだなあ」って譜面に書いておく・・・それも日付書いてありますけど。五線譜にメロディーだけとかね。
美芽.
そういうのがたまっていくんですか?それとも、マックに打ちこんだ状態でたまっていくんですか?
本田.
2種類あります。マックでたまっていくのもあるし、五線譜でたまっていくのもあるし、半々ですね。マックでやるときっていうのは、ある程度「作ろうかな」っていって作るときとかイメージだけその曲の雰囲気が浮かんだときに、音を出してみて・・・っていううちにできたのが多いです。あとは音を録ってみて作る方法もあるけど、ほとんど最近ないですね。家では音は出せないし。
美芽.
今回の曲は五線譜のほうなんですか?それともマック?
本田.
どっちだっけなあ・・・。今回のはね、・・・・(しばし考えて)全然わかんないです。とにかくどんどんマックに入れていっちゃうんで。多分、家で譜面から書いてると思うな。それが一番多いんですよ。どこか新幹線とかだから譜面、なのではなくて、家のテレビ見ながら何だ浮かんだなあと思って、テレビ消して譜面書いて。なんか成り行きにまかせられるじゃないですか。だから譜面から書いた方が、発想する気が起きるんですよね。譜面に書くほうが多少多いかもしれないです。それを譜面に書かずに直接音を出してみるのがマックでやるほうなんですね。多分、家で譜面書いて、それをマックに全コーラス入れて、ちょっとづつ作っていくみたいな形が一番多いんじゃないかな。
美芽.
そういった、マックでちゃんと曲の形にするのが、10月とか11月ぐらいの曲作りの時期なわけですか?
本田.
そうそう。そのとき作曲もするけど。今まで書きためた曲をいじってると、そういうのを発想する頭にだんだんなるんですよ。そういうときに作曲もよくできるのはできるんですよね。頭が元気になるというか。そのころ書いた曲もありますね。去年書いたのは1月4日だったな。だからお正月ですね。レコーディング間近で、曲の提出日の2・3日前です。今年はもっと(曲の提出の)締め切りは早かったけど。
美芽.
なるほど・・・。で、「SAMURAI METROPOLIS」だと、流れる感じのメロディーと、結構ファンキーなリズム隊の対比が面白かったんですけど。そういう全パートも、もう全部本田さんのほうでできあがって提出してるわけですね。
本田.
そうですね。機械が充実してるから、家でデモテープ作るにしても、みんなすごく質が高くなってるんです。ほとんどの曲がかなりもう、できてるんですよ。もう、イメージが「そうなってるんだな」って出来上がっていてあまり変えようがないんです。曲によっては「そこはその人のイメージにまかせる」みたいなのでもできるんですけど、そうするとデモテープ審査するときに審査されないじゃないですか。例えば、ただ歌をうたって「ジャンジャカジャン」でも「デモテープ」だからいいんだけど。他の人がちゃんと作ってるんだから、ってだんだんちゃんと作るようになるんです。基本的にはベースパターンとかドラムのパターンは誰の曲でも決まってますね。生の演奏をするわけだから、できない部分とかもっとかっこよくしていく部分とか勝手に直したりしてますけど、大まかな流れはみんな全員決まってますね。
美芽.
じゃ、例えば今回の本田さんの曲で、イントロにフルートのソロが入ってますけどあれはデモテープの段階ではどうなっていたんですか?
本田.
あれはね・・・、デモテープの段階ではああいうふうにはなってないです。打ち込みしてるときでもイメージは何となくありますけど、ああいうのって打ち込みしても全然つまんないので。とりあえず曲の物語が全体的にこういうふうになるような、イメージはあったんです。それをかたちにはしてなかったから、かたちにしつつ、変わっていくんですけどね。レコーディングするって決まった時点ではイメージはありました。
美芽.
提出した20曲の中では、お皿にのった2曲はどういう位置にあったんですか?20曲もあると、「これはこうで、これはこう」ってありませんか?
本田.
それはありますよ。ボサノバっていうかブラジルの音楽、ラテン的な音楽、好きなんです。今回はじめて採用されただけで、今までもいっぱい書いてもっていってるんですよ。今までの印象のようなガチャガチャした曲も、一応なくはなかったんですけど。逆に今までにも普通の曲は書いてたんですけどあんなのばっかり採用されていたんですね。別に普通のメロディーっぽい方が好きだし、曲の書き出しにしたってリズムから書いてるのよりメロディーから書くのがほとんどですしね。位置というと、どうなんだろうね・・・。
美芽.
気に入ってるとか、気に入ってないとか・・・
本田.
うーん・・・気に入ってないのが3曲ぐらいあって、あとは一緒ですね。まあ、アレンジが詰められてないバージョンと詰められてるバージョンとあるんで。すっごい「そのまんま」な曲もあるし。それによっても、サウンドの「お気に入り度」は変わるじゃないですか。いろいろですけど、まあ「とんがりすぎない程度の曲」なんじゃないですか?今回の「SAMURAI METROPOLIS」のほうは。
美芽.
あの曲は、最後のところでいったん終わったように思ったら雰囲気を変えてまた始まるじゃないですか。サックスに持ち替えてますよね?
本田.
うん、持ち替えるっていうかレコーディングだから別の日に録ってますけどね。
美芽.
あれが「面白いな」って思って。あれは、また最初からそういうアレンジだったんですか?
本田.
あれはね、いきさつがちょっと変わってるんです。僕の出したデモテープに、「SAMURAI METROPOLIS」の次に同じようなリズムの曲が入ってたんです。デモテープだから曲と曲との間なんかは適当で、バシッと終わっておいてすぐ次の曲入ってたんで、「続いた曲だと思った」と言われて。(笑)で、自分なりに考えて、「ああいう感じに何か来るといいかな」と。あの部分はその続いてた曲じゃないんです。デモテープの続いてたと勘違いされた曲と、「SAMURAI METROPOLIS」は関連のあるコード進行を元にはしてましたけど。そういうところからヒントを得て、ああいう終わりかたにしたんです。
美芽.
なんか、「あれっ?」って・・・。面白かったです。
本田.
あんなことに、なるとは・・・。って感じ?
美芽.
そう、「あ、この続きもっと聴きたいな」っていうところで終わっちゃう・・・。
本田.
ホントはね、あれはもっと短くする予定だったんですけど。(笑)サックス吹く曲今回少ないんで。サックスとかフルートとかソプラノとかね、いろんなのにいってるから、「ちょっと長く、いっとこうかな・・・」って、(笑)ちょっと長めですけどね。
美芽.
あれは、アルトじゃなくて・・・
本田.
テナーですね。テナーの方が慣れてないから、ああいう野暮ったい感じが出しやすいんですよ。やっぱりテナーは専門外ですからね。テナーの人のアルトもちょっと変わってるし。吹きにくいんですけど、荒削りな感じがちょうどあの場にはいいかな、と。
美芽.
ソプラノとアルトでは、ご自分の中では同じなんですか?
本田.
そうですね、アルトが中心ですけどね。ソプラノサックスって、なんかテナーの人もそんなに違和感なく吹けるんですよ。で、アルトとテナーの間はやりにくいんですね。バリトンサックスもそんなに違和感ないんだけど。テナーはね、イメージがあるのにその音が出ないんですよね。テナーはね、イメージを作ってるいいプレイヤーがたくさんいるし。「やってみたけど近寄れない」みたいな。僕が吹くとなんかアルトみたいな音がするんですよね。楽器が出すんじゃなくて、人が出してるニュアンスも微妙に違うし。それはそれぞれのアルト吹き、テナー吹きの人だったらすごくわかることなんですけどね。やってないと、そのへんわかんないですよね。なんかね、そうなっちゃうんですよ。全員そうだと思うな。アルトだとね、このへんが「張った」音域がする、っていうのがテナーだと低いわけなじゃないですか。ぐーっとくる・・・はずなのが、なんか「来ないじゃない。」みたいなズレがあるんですよ。バリトンとかソプラノぐらいいっちゃうと、もう別物になるんだけど。テナーとアルトは重なってる音域はどれもあるんだけどその中でも似てるじゃないですか。バリトンはバリトン、ソプラノはソプラノってイメージがあるけど、テナーとアルトは違うんだけどどっちも「サックス」っていうイメージがあるでしょ。吹いたときに、つい同じイメージで吹いちゃうんですよね。アルトだと「ピィーー!!」とかいう音のはずが、「びー」ぐらいの感じだったり、そういう違いがあるんですよ。気合いがノリにくいんですよね。テナーの人にもそんなのあるんじゃないですかね・・・。
美芽.
今回、本田さんは音色がかなりいろいろな楽器を使ってメロディーを吹いてますけど、そのへんの楽器選びというのはもうデモテープの段階から決まってることが多いんでしょうか?
本田.
自分の曲はだいたい決まってますけどね。人の曲はその人のイメージとは違った場合もあります。だいたい僕が決めて・・・作った人と「これでもいいんじゃないの」とかいって決めますね。あとみんな音域はあまり考えないで作るので、その人のイメージしてる楽器では吹けない曲もあるんですよ。リハーサルの時やレコーディング前に演奏してみて「これでいいか」みたいなことを決めていくんですけどね。
美芽.
今回、ほかにレコーディングのことで特に何かありますか?
本田.
そうですね、今回はかなり地味なところからハデなところまでいろんなスタジオで録ったので、これでもできるんだなあというぐらいのレコーディングをして・・勉強になったというか、学習しましたね。
美芽.
いろんなところって何カ所ぐらい・・・
本田.
僕はほとんどここ(Village−Aのスタジオ)で録ったんです。レコーディングにもかかわらず、そこらへんの機材で。まあここの事務所でもそれ用の機材とか買ったりしたんですけど。ここ最近、外国で録音することが多かったんで、それの場合てスケジュールがバッチリ決まっててここまでに終わらせないと、「もう日本へ帰るぞ」みたいな緊迫感の中でやっているんです。そういう緊張感がいい場合もあるし、もうちょっと煮詰めてやりたかったのが残る部分と、いいところと悪いところとあるんです。日本でやってるにしてもスケジュールの最後は決まっているんだけど、でもここが使えたってことでとりあえず何時間でも、いつでもできるっていうのはあるんですよ。そのかわり日にちはパンパンに入ってました。僕、元旦からここでやってましたから。だけど外国に行っているとそういうこともできないわけだしね。そういう意味では、「凝れる」っていうか。納得いくまで・・・もっと納得したい部分というのは当然いつも残るんですけど。まだね、外国でやってるみたいに「ハイ、ここまで」っていうふうにはならないんで。まだ良かったですね。それが今までちゃんとしたレコーディングスタジオなり、外国なりに・・・そういうちゃんとしたスタジオで録っていくことが多かったんですけど、「こういうところでもできるんだ」っていうのが確認できただけでもね。
美芽.
本田さんがお一人で自分のパートを入れ直すわけですよね。
本田.
そう。EWIとサックスとフルートと。結局ほとんどここですね。他もちょっとあるけども。
美芽.
リズムを録る段階では一緒に演奏しないんですか?
本田.
いや、リズムを録る段階でもEWIもサックスも吹くし全部やりますよ。やってるけどもジャズではないんで、一発のセッションのインプロビゼーションを楽しむ部分も多少はあるけれども、それだけではないんです。少なくとも僕はそう思ってます。ある程度作り込んでいくんですよ。レコーディングをする場合、当然リズムの方がいいものが録れているるものを残していくっていうスタイルになってしまうので、それが必ずしも全員がいい演奏ができるとは限らないんですね。何テイクか録るけども。だからそれを直していくってかたちでやっていくのが今時のレコーディングでは普通です。音を同じにはできないから直して・・・EWIに関しては音を直したかな。一緒に演奏してるものがそのままできればいいんですけど、なんかミスしたり気に入らない部分があったりやり直したいんで、そういうところを凝ったんですね。
美芽.
ここでやり直したのはどの曲でしたか?
本田.
6曲ぐらいかな。でも部分的に直してあるものとか、サックスだけここでやったりとか。
美芽.
じゃあ、ひとりでここに来て、スイッチを「カチッ」と入れて、気合い入れて吹いて、「終わった・・・カチッ」ってやるんですか。終わったら、自分で聴いてみて、「うーん」って。
本田.
うん、そう。暗ーいの。(笑)そういうの嫌いじゃないんで。
美芽.
一回吹いたら一回聴いて、っていうのを繰り返すんですか?
本田.
うん、それはいろいろですね。レコーディングっていうのを見に行けば分かりますよ。一回づつやっては聴き、やっては聴き・・・って時もあるし、途中で「ダメだった」ってやめる時もあるし。アマチュアと一緒ですよ。
ひさえ.
うちの妹が国立音大なんですけど、やっぱり雰囲気が国立っぽい感じがしてらっしゃいますね。
本田.
えっ、僕ほとんど学校いってないんですよ。仕事してたから。・・・こういうフュージョンとかジャズとかやってるとムチャクチャ怒られるんです。庭で練習してるとね、5階ぐらいからおっさん降りてきてね、「ここをどこだと思ってるんだ。」とか怒られる・・・。その当時は学生だったから・・・はむかってましたけど。だんだん許してくれるっていうか、しょうがないなっていう感じになってましたけど。国立音大ってジャズっぽい人って多いじゃないですか。他の音大に較べて特に多いでしょう?寛大なのかな?と、入る前はそう思ってたんですけど、みんなたまたま間違えて入っただけ。もちろん音楽が好きだから入ってるんですよ、クラシックも嫌いじゃないしね。「それしかダメ」って言われると僕はすごくイヤなんです。ジャズの世界でもそういうのあるし・・・俺達みたいな中途半端なのは、気に入らない人いるみたいだし、全部好きな人だっていていいじゃないですか。ジャズも好きだし、クラシックもいいのは好きだし、フュージョンも好きだし、歌も、ロックも・・・嫌いなのはちょっとはあるけど、分野別にこれは嫌いと言われるのはとってもいやなんです。・・・妹さんが音大に行ってたんですか?
ひさえ.
ええ、声楽科です。
本田.
科によって、まったくバラバラなんですよ。お互いよく知らないし。
ひさえ.
なんとか号館の人は、変わってるって妹がいってましたけど・・・
本田.
ああ、3号館?俺達のことでしょ。(3号館は管楽器専攻の学生のいるところ。)3号館は変わってるけど、俺達は3号館の中でも変わってて、だから普通なんです。
美芽.
音大は、いつごろから行こうと思ったんですか?
本田.
音大?高3です。
美芽・ひさえ.
高3!!!???(管楽器は比較的遅めだが、例えばピアノで音大に行こうと思ったら早い人は小学生からそのつもりで準備している。そのことを考えると、やはり進路決定の時期としては遅め。しかもそれで現役で入っているところがすごい。)
本田.
音大には、興味はなかったんですよ。僕は、その当時の「アン・ミュージックスクール」とか、「武蔵野音楽学院」とか、そういうポピュラー音楽を習う専門学校に行って。キャバレーでもなんでもいいから(笑)やりながらプロになりたいな、と思ってたんです。だけど、一応親が学校の先生で「大学は絶対行かないとダメ」って言うんですよ。プロになりたい、っていうのが中2ぐらいで決めてたんで、勉強はやめてたんです。高校に入ったら勉強やめてバンド活動に専念してたんで、今さら普通の大学に行く能力ももう、なかったし。「じゃあ音大かな」って。それでクラシックのサックスの先生・・・僕の出身は高知の中村市っていう高知市からまだ100キロぐらい離れたところなんですけど、毎週通ったんです。
美芽.
東京まで通うとか、そういうのはなさらなかったんですね。(ピアノや声楽の場合、九州や北海道から東京にレッスンに通うという人も珍しくない)
本田.
高知で充分ですよ。4時間かかりますから。一応習って・・・初めてクラシックのサックスっていうのを聴いて。「何じゃこりゃ・・・」って。
美芽.
高3で、はじめてクラシックのレッスンに行かれたんですね。
本田.
ブラスバンドとかやってたんだけど、田舎のブラスバンドっていい加減で、それこそビートルズとかそんなのやってるんですよ。かっこいい「チャチャーン!」みたいなの(正統派クラシック系のブラスバンドの曲)やったことなかったんで、はじめて聴いて、「へんなの・・・。」って思いましたね。マウスピースも全然違うし。で、こうやって吹けば音大行く人みたいになれるのかなあ、って。だからニセモノなんですよ。先生の吹き方マネして、ジャズふうにいうとコピーですよ。それで、真似して。で、クラシックの人ってコピーしないから真似するの上手くないんですよね。一浪でいいや、っていってたんだけど、入っちゃったんです。大学生として、いろんな仕事をしつつ、大学自体は・・・あまり、マジメに行ってないですね。クラブ活動はしてましたけど。ニュータイトジャズオーケストラっていう名前で、僕が入った年にできたんです。
美芽.
音大は毎週個人レッスンがあると思うんですけど、それは行ってらしたんですか?
本田.
行ってましたよ。もったいないから。
美芽.
その時間は、クラシックをやってたわけですね。
本田.
家でも練習してましたよ。せっかくだし。でもほとんどはクラブの練習してたかな。すごく盛んだったんですよ、僕の時代とか、その近辺とか。僕だけですけど、こういう軟弱な音楽に行ったのは。ジャズの世界では、みんな結構有名になってますよね。 同級生とか新宿ピットインとかに出て。僕、一人だけ違うことやってますよね。
美芽.
本田さんはT-スクェアの曲などでボツになってたまってる曲が、すごい数でありませんか?
本田.
すごい数ありますね。家に・・・・いますよ。マックの中に、いますね。何百曲・・・ありますね。あと部屋のどこかにいるけど消息不明の曲もいっぱいあるし。
美芽.
この先、その曲達はどうなっちゃうんでしょうか?
本田.
この先・・・いいことあれば出て来るんじゃないですか?あの、一応ちゃんととってあるんで。昔の曲でもいいなと思ってるのはとってあるんです。T-スクェアに持ってきたのは、一回ダメっていわれたのでどこか自分で何かやるとか。違う場所で出してあげないと可哀想じゃないですか。でもね、昔作ったのはすごくいい場合もあるんだけど、今だと全然ダメだなという曲もあるんです。今の時代に対してあまりどうってことないな・・・っていう曲もあるし、なんてことない曲だけどいいなっていうのもある。音楽の「はやり」とは違うんだけど、今の気持ちと違うなっていうのが・・・7・8年寝かせるとすごくハッキリしてきますよね。。まあ、アレンジで変わったりするんだけど。一応譜面見ると、メロディーとコードしか書いてなくても具体的なアレンジのイメージが出てきますから。イメージは違うな、っていうこともあるんだけど、まあ直せますしね。
美芽.
では、具体的な「いいこと」の予定とかは・・・。
本田.
具体的な予定はないんだけど、やる気になれば曲は沢山ありますよ。いまいち自分の中で方向性がはっきりと決まってないんです。自分の中で、「サックスを吹かないといけない」というのもないし。みんなは「えっ」って思うかもしれないけど、自分としては音楽全体ができればいい。その、極端な話、ギターを弾いたり歌を歌ったりするアルバムでもいいんだけど、まあそうもいかないんでね。バランスのいいアルバムを作りたいなっていうのはあります。具体的にはなってないですね。
美芽.
いろいろな方向性がいっぱいあって、まだはっきりと方針が出てないってことなんでしょうか。
本田.
うん。なんでもいいんだったら、すぐ5枚組とかできますけど。(笑)できるはできるけど、それじゃあしょうがないし。で、T-スクェアでも自分のやりたいことを自分の曲に限らず人の曲の中でもやってるんです。それ以外の「やりたいこと」をやらないといけないと思うんですよ。同じようなことをやるのではない方向ができればいいんだけど。もちろん同じ方向でもっと「強い」ものを出すのも一つの手だけど、できたら違うものができたらいいなっていうところで。いまいち具体的になってないですね。
美芽.
T-スクェアで活動があまりない時期ってありますけど、そのときは何をしてらっしゃるんですか?
本田.
何もしてないですよ。打ちっ放しに行ったりとか、・・・・ヒマだから。極端なんですよ。忙しくなると2ヶ月ぐらい休まないで働くんだけど、暇なときは2ヶ月ぐらい何にもないですからね。ま、たまに誰かのレコーディングにスタジオで呼ばれて行くこともありますけど、最近ちょっとめんどくさいらしくて呼ばれないんですよ。すっごいヒマで。「何しようかなあ・・・」って。コンピュータいじったリ、他の趣味に。カメラとか、車とか、やたらものを買っちゃうんですよ。
美芽.
乾燥機まで全自動の洗濯機の話は、コンサートでうかがいましたけど・・・
本田.
そう、いろんなものを買わないとヒマつぶれないから。
美芽.
そういう時期にサックスを吹くことも当然あるわけですよね。
本田.
うん、でも家で吹けないんですよ。ここに(VillageーAのスタジオ)来て夜中に練習したりしてますけど。でも人とやったり、人前でやったり、人間相手に演奏することをやらないと、全然ダメなんですよ。機械相手にシーケンサーでも練習にはなるし、吹かないよりはいいんだけど、なんか・・・体力つかないんですよね。うん。全然ダメになります。1曲吹けないです。今、3曲ぐらい吹けるかなあ。そしたら「以上!!休憩!!」って感じ。全然吹けない。
美芽.
それは、サックスの話ですよね?EWIはどうなんでしょうか?
本田.
EWIも同じですよ。でもEWIはうちで練習できるからいいけど。でも、EWIもサックスも吹かなかったら、EWIも吹けないですね。
美芽.
吹けない、というのは、指の問題なのか、口のまわりの筋肉の問題なのか、頭の中の問題なのか・・・どうなんでしょう?
本田.
全部。まず吹けないのは口の筋力が衰える。口の筋力は鍛えようがないんですよ。こういう作業ってぜんぜんないんで。あとは指も動かなくなるし、頭の中に浮かぶのも妙なことになるし・・・浮かばないのは新鮮な場合もあるんだけど、それとはちょっと違うような気もするし。難しいですね。しばらく職場復帰に時間かかりますよ。
美芽.
職場復帰・・・もうすぐ、職場復帰ですね。
本田.
そうですね。そろそろやんないと。こういうところ(スタジオ)でリハビリするしかないな。
美芽.
リハビリ・・・(絶句)
本田.
僕らは、最初はリハーサルは、リハーサルではなくて、リハビリですからね。リハビリしないと、それぞれがバンド以外で他の生演奏をほとんどやってないですから。 やってる人もいるけど・・・。最初下手ですよ、みんな。
美芽.
じゃあ、ライブの初日までになんとかしてもとに戻すわけですね。
本田.
もとになんとか戻りつつ、でも人前でやることによって得られるものもあるんで、初日はやっぱり大変ですよ。人前で吹くとやっぱり疲れるんです。ぜんぜん。ここでいくら長いこと吹けて、「だいぶ良くなったなあ」と思って人前出るとまた全然違うし。その前にみんなでリハーサルとかやるんです。そのときに弟1弾でもっと疲れるんですよ。で、人前でやるとそれ以上に疲れるんですよね。なんでなんだろうね。
美芽.
気合いが入るんでしょうか・・・。
本田. 気合いが入っちゃうのかな。でもリハで気合いいれてやっとこう、と思っても何か違うんですよ。追い込まれないんでしょうね。
美芽.
では、いつぐらいから完璧になってくるんですか?
本田.
完璧はないですけど、一生。「戻ったかな」というのは終わり頃ですね。続いていろいろあると持続できますけど、大きな夏休みみたいな時期の後はかなり時間かかりますね。年とると復帰に時間かかるんですよ。大学ぐらいの頃は、まあ良く吹いてたっていうのもあるんですけど、T-スクェアに入るまで、高校以来こんなに休んだことないですからね。T-スクェアに入ってこんな1ヶ月も2ヶ月も休む機会があるけど、それ以前はほとんど毎日仕事してましたからね。だからわからなかったのかもしれないけど。特に年とると・・・、T-スクェア入ったころにくらべても復帰するのにムチャクチャ時間かかるんですよ。
美芽.
その開いている2ヶ月とかの間に、セッションとかアルバムを少しづつ作るとかそういうのはやってらっしゃるんですか?
本田.
うん、やってますけどね。そういうのもちょこちょこっとやってるけど、その前の働いてるシーズンがむちゃくちゃに働いて、「休憩!!」っていう気持ちは最初はあるんですよ。「もう、できない」っていう。「しばらく休もうっと」っていうのはあるんだけど、そのまま休みグセついちゃって。で、ちょこっ、ちょこっと何かやったり、「ああいかん・・これは復帰するのに時間かかるぞ、ちょっとぐらい吹いておかないと」って吹くときもあるんです。でもやっぱり人前で吹くのと違うでしょ。リハビリやってても・・・どうもそれほどの効果がないんですよ。
美芽.
リハビリがあって、開きがあって・・・っていうのは自分の中ではどうなんでしょうか?
本田.
良くないですよ。無駄な労力。ずーっと吹いてる方がずっと楽。ちょっとづつずっとある、例えば3日に1回仕事があるほうがすごく持続できるんだけど。何ヶ月とかなると、もうどうにもならないですね。指も動かないし、頭の中にある音楽レベルも下がるし。
美芽.
そういう意味では、T-スクェアのスケジュールというか周期は、本田さんにはちょっと辛いんですか。
本田.
うん、でもスケジュールというかこの周期がT-スクェアに向いているというのは、よく分かるからしょうがないですよね。自分がなんとかするしかないですよね。「なんか、できるもんだなあ」「あっ、復帰してるわ」と思えるからなんとかなるんでしょうね。
美芽.
その「間」に演奏活動をなさってるのが聴きたい・・・とファンとしては思いますけど、そのへんはいかがですか?
本田.
うん、そろそろやろうかな。自分の何かを、ツアーの途中でもいいし、やる気になればいつでもできますからね。
美芽.
ミュージックセミナーのことを伺いたいんですけど、何時間ぐらい寝たんですか?
本田.
ほとんどあんまり寝なかったですよ。3時間づつぐらいかな。最後の日は寝なかったし徹夜ですね。なんかいつもそうなっちゃうんですよ。みんな真面目に練習するし。
美芽.
いろんなレベルの人が来てるというお話ですが。
本田.
そうですね。セミナーの場合は4日間で終わるんで、うちのクラスだと19人いるんですけど、バラバラな人が来るのは当然なわけです。どのレベルの人にも、共通してプラスになるであろうといえることを教える・・・、ある程度上手い人にでもためになるじゃないかなっていう授業をやらないとな、って思ってるんですよ。クラス分けとかしちゃうとすごくヒマな時間が出てくるじゃないですか。半分に割ったとしたって10人の人は半分はヒマになっちゃうわけだし。だからいろいろ考えて、班を作って、班ごとに練習してもらってる間にある一つをみる、みたいなね。レベルによって分けちゃうと初心者にだけ大切なことを言うようになったりしかねないし。かなり吹ける人でも基本的なことができてない人がすごく多いんです。一番言ってるのは音の出し方かな。
美芽.
例えばどんなことですか?
本田.
音の出し方、口のかたちの作り方、音程の取り方、リズムの取り方、音・息ののスピードの問題とかタンギングの仕方とか、そういったことですね。
美芽.
本田さんご自身は、そういった点はどういう場面で勉強してきたことが多いんですか?
本田.
勉強は・・、日々勉強ですね。ちっちゃいときも勉強になってるし。その、音感教育という意味では小さいときにピアノを弾いていたのが役に立っていると今になって思えるし。大学時代に沢山のいいバンドのメンバーというか、ライバルというか、同じような音楽をやってた仲間が沢山いたし。高校時代は歌うたってポップスのバンドやってたんですけど、自分は作曲してオリジナルのバンドをやってたんで、それはそれでためになるし。音大の授業もクラシック風に曲が吹けるようになったというところで多少意味があるし。で、学校を出てからはプロの人たちと演奏することはすごく勉強になりますよね。ブラスセクションの仕事なんかをやってると、年輩のちょっと上手な人にしごかれたりとか、それもすごく勉強になるし。T-スクェアに入ってからも自分が曲として書いたものをアルバムにして発表するのは初めてだし。・・・緊張感を勉強するのにね。だからそういう基礎的なことを勉強するっていうのにも質問の場所場所でいろいろあるんです。基本的な息の出し方とかは自分なりにいろいろ工夫して、人に習ったのはほとんどないんですけど、そういうの習ったっていうか気がつくっていうのは、プロになってかなりやりだして日本の中のトップクラスの人と一緒にやるようになってからですね。それまでは田舎いたら、そんな経験はないですから。自分なりにとりあえず研究して、テレビ見たりレコード聴いたり、そのくらいしかないんでほとんどは自分で気がついたんですよ。でも学校に習いに来てる人たちは、偶然だか、残念なことにあんまり気がついてない人が多いんです。なかなか、言っても4日でよくなるわけはないので、うちに帰ってからそれを頭に入れてやってもらうように言ってるんですけどね。
美芽.
本田さん自身は基本的なことには自分自身で気がついていて、でも生徒さんを見ていると気がついてない人が多いということですね。
本田.
そうですね。ある程度吹ける人から初心者の人まで共通してそれが足りないんです。まず、それを言ってますね。上手い人は上手に音を出してるんですけど、それがその大事なところがなかったりすると、すごくクセがついているように聞こえるんですよ。もちろん個性とはいえなくないけども、個性はそれがちゃんとできた上でも出せるんですよ。そういうふうなことを言ってますね。そうしないと、全体の19人が「何かを得た」という気持ちになりにくいじゃないですか。あんまり難しいことばっかりいってても訳わかんないし、逆に初心者レベルのことばっかりやったら上の人はつまらないしね。だからそういう内容にしてます。
美芽.
そういう「基本的なこと」って、例えば先生についたら習っていそうな気もするんですが・・・習ってない人が多いんでしょうか。教えてないのかしら。
本田.
うーん、僕自身は習ってないんだけど、教えるとしたら教えるべきことですよね。例えばピアノで「卵を包むように」って手のかたちのことをいうのみたいにね。
美芽.
音大に入って、まわりのサックスの同級生の人たちは、基本的なことはできてたと思いますか?
本田.
あれは・・・全然違う音楽なんで、・・・みんなそれなりに音大レベルの演奏はしてましたよ。今やってる音楽とあまりにも違うんで、そのさっき言った基本的なことも違うんですよ。タンギングの仕方なり、息の入れ方とかすべてが違うんです。逆に、ここのうちのセミナーにいっている生徒でも音大に行きだした人とか音大に行けそうな人もいるんですよ。ブラスバンドをやってる人、「チャッチャカチャーン」ってキレイなのをやってる人は、音大の人みたいなサックスが吹けるんです。僕とは逆に、そういうのしかできないんですよ。それとは発音のしかたが根本的に違うからそれを教えるっていう点が強いですね。ブラスバンドから入ってる人が多いですから。そこではやっぱり先輩なり先生に習ってるから、クラシカルな意味での吹き方はある程度できてますけど、ちゃんと鳴らないっていうかクラシックっぽい「ぽーーー」っていう音を鳴らすんですよ。それは音大でできてる人っていうのと、もともとの種類がまた違うんですよね。
美芽.
私の思っていた以上に、クラシックと本田さんの今やっている音楽っていうのは、音楽の根っこのところから全部違うんですね・・・。
本田.
うん、マウスピースも全然違うし。
美芽.
クラシックのレッスンに行っていたっていうお話ですけど、本当に全然違う世界を行き来してたわけですね・・・。
本田.
全然違いますよ。別物ですね。吹き方がまず違うし、発想も違うし。
美芽.
その別物をやって得たものというのは、どのくらいあったんですか。
本田.
そうですね・・・ちょこっ、ちょこっとはあるんじゃないですか。ただの音階練習なんかもそうだし、クラシック風に吹くと難しくなるフレーズとかもあってそれでも自由に吹けるようにしておくといいとか、たまたまT-スクェアに入ってクラシカルなレコードを作ったりしたので、その時に役に立ちましたよね。はじめてそういうのがまともに役に立ったかな。その他はほとんどそういう演奏をした経験というのはないですね。
美芽.
本田さんはいろいろな楽器を吹かれますけど、固定ドなんでしょうか?それとも移動ド?
本田.
固定ドっていうか、絶対音感あったら気持ち悪くてできないでしょう。絶対音感は途中まであったんですけど、小学校4年のときに捨てたんですよ。不便だと思って。
美芽.
捨てる、というのはどういう感じなんでしょう・・・?
本田.
やめる・・・、固定ドをやめたんですよ。絶対音感があるとどうしても固定ドになるじゃないですか。「これは不便だ」と思ったんです。「こぎつねコンコン」のキーががFだったんですよ。「ドレミファソ・ソ」じゃないですか。なのに、「ファ、ソ、ラ、シ」って歌わなくちゃいけないのがすごく歌いにくかった。「ドレミファソ・ソ、ラファドラソ」って自分には聞こえるっていうことは「おかしい」と思ってそれでやめたんです。「全部ドに変えて読めるようにしよう」って。その時は将来こういう音楽やると思ってなかったですけど、そっちにしといてよかったですね。どのキーでも関係なくて楽なんです。そのころまではピアノもやってたし、このへんが「ド」っていうのはあったんですけど、「全部ド」にしちゃったんです。絶対音感はなくなっちゃいましたね。
美芽.
あの、移動ドだと曲を書くときは調号とかはどうなるんですか?
本田.
調号は多いぐらいですよ。固定ドの人っていうのは絶対音感なので、その音はその音でしかないんで、調号はなくても同じなんです。あったほうが読みやすいけれども。移動ドの人はキーが何かというのが非常に大切なんです。Fならフラットが1個ついてるし、2つついてたらDのキーだっていうのがすぐわかりたいじゃないですか。それがないとすっごく譜面は読みにくいですよね。
美芽.
今は移動ドで便利なわけですね。
本田.
そうですね。ジャズ・フュージョン系って転調の多い音楽でしょう。固定でやってるとすごく不便でしょうね。固定なら固定の考えがあるのかもしれないけど。そういう意味ではサックスやっててよかったな、そういう風にしておかなかったら大変だったな、と思いますね。
美芽.
では、最後に本田さんの車のお話を・・・。今、2台お持ちなんですよね?
本田.
そう、10月3日に2台になりました。その前は3台あったんですけど、どうにもならなくて、1台乗らないようになってしまうので。なんとか2台売って1台にして。すっごい大昔から持っている紺のシルビアのコンバーチブルっていうのと、その2台売って買ったポルシェ。
美芽.
ポルシェは何色なんですか?
本田.
ポルシェ・・銀色。うん。そのまえ赤いのが2台だったんですけど、紺と銀で地味になったんです。(笑)
美芽.
どっちも順番に乗ってるんですか?
本田.
そうですね、なるべく。ほったらかしてると良くないんで。
美芽.
どっちが好き!!っていうのはないんですか?
本田.
シルビアは長いこと乗ってるんで売るに売れなくなっちゃったんですね。で、売っても下取りとってくれないぐらい古いんで。で、ポルシェだけだと荷物入らないんですよ。サックスフル装備で持っていけないんですよ。もう1台必要になるんですけど、スポーティーなのが好きなので、ていって買ってしまうとお金かかるしそんなに好きじゃない車なら買わなくてもいいかな、と。いうことでそうなっちゃったんです。欲しいのはまだいくらでもあるんですけど。例えば、今だったら・・・今いっぱいありすぎて、言いようがないぐらいありますね。ポルシェに変わるスポーティー路線と、シルビアに変わるスペシャリティですけど、今はシルビアがセダンの役割にになってるんですよ。その代わりとして欲しいのはいっぱいありますね。BMとか、アルファロメオとか、プジョーもいいですね。沢山ありすぎて訳わかんないな。あ、インテグラ、GTRとか。荷物も入るし、まあまあ速くないとダメなんですよ。オートマはいらないんです。オートマでない車が売ってないんですよ。今言ったのは全部マニュアルがある車なんですけど。スポーティー路線ではポルシェ・・・ポルシェ買う前にはホントはフェラーリが欲しかったんですけど、フェラーリは大きすぎる。乗って行くにも乗っていくのはいいんだけど、置くところがないんです。ポルシェの前に乗ってたNSXっていうのもそれでさえ置くところなかったし。東京都内のタワーパーキングでは幅がまず入らないし、持ってても乗る機会がないんです。で、乗れるけど速いのがいいな、と思ってポルシェにしたんです。でもポルシェは走り屋さんみたいなのを買ってしまったので、下が低くて、結局どこにも行けない。それがちょっと失敗だったんですけどね。あんまり大きな車はいらないですね。邪魔だし。ベンツとか、いらないですね。似合わないでしょ。ちょっとしてからでも乗れるますから。 
美芽.
では、とっても長くなってしまいましたけど、長時間にわたりありがとうございました!!!(このあと本田さんはサックスを持ってきてくれたのでサックスを持っての写真撮影となりました)

インタビューを終えて.
おっとり、ゆっくりと優しい言葉を選んで独特の口調で語る本田さん。その口調を保ちつつも、ミュージシャンとして考えていることを非常に沢山言葉に直して語ってくれました。聞いていて感心することや知らないことが続出。オフの時ずっと楽器を持たないようなことをいつも話していたのは何故?という疑問もすっきり消えました。いろいろあるんですね。レコーディングの話など、インタビュアーの不勉強による超・初歩的な質問にも丁寧に答えていただきました。このゆっくり、のんびり・・・って話していて、それで演奏に切り替わる瞬間というのが見たくなります。車のお話では突然早口になり、何も質問しないうちから次々とお話が出てきて、本当に車がお好きなのが伝わってきました。


Special thanks to Village-A
Interviewed by Mime
Photograph by Hisae
Copyright 1997 CyberFusion