Chuck Loeb(チャック・ローブ)
マイケル・ブレッカー − ザ・スタンダード 初めてマイケル・ブレッカーの演奏を耳にしたとき、根本的な転換が訪れた。音楽を即興するということにおける良質で卓越した新しいスタンダードというべきものが −それはほとんど実現不可能なものであるが− 確立されたのだ。僕がマイケルの演奏をはじめて聴いたとき、既に多くの大好きなミュージシャン達がいたのだが、彼はその演奏の領域の幅を広げてくれた。
彼の完璧で高度な技術がゆえに、多くの音楽形態をクロスオーバーする演奏を可能にさせたのだと思う。 後に、僕が幸運にも彼と一緒に演奏する事ができ、さらに友達と呼べるまでになった時、そのスタンダードは単なる音楽といったものを超える存在となった。つまり彼は人間としてやさしく、楽しく、寛大で、そして謙虚であった。それがゆえに、彼は常に世界中から演奏の依頼があり、にも関わらず僕達がお願いするどんなプロジェクトにも時間を割いてくれたのだった。 今思えば、僕らにとって去年の春は本当に意味深いものとなってしまった。彼は死の病と戦っている最中に、カーメンの新しいCD「You Still Don't Me」のレコーディングに時間をさいてくれたのだ。その時彼が演奏してくれたソロパートはいつもの通り完璧だった。 マイケルはいなくなってしまった。けれど、彼が残したスタンダードは永遠のものとなるだろう。
スーザン、ジェシカ、サム、ランディー そしてご親戚一同にこころからお悔やみ申し上げます。 Chuck Loeb & Carmen Cuesta |
Translated by Yumi Hashi |