Peter Erskine Cyber Interview

今回幸運にもジャズ・フュージョン界を代表するドラマーであり、ウェザー・リポート、ステップス・アヘッド、ジャコ・パストリアスのワード・オブ・マウスなどのドラマー として知られるピーター・アースキン氏とのインタビューができる機会に恵まれました。 このインタビューは96年7月にピーターが彼のトリオを率いてヨーロッパをツアー中にEメールで申し入れていたものに対して、ピーターより河口湖でのマイケル・ブレッカーや ジョン・アバクロンビーらとの公演を終了してカリフォルニアの自宅に帰ってから 返事があったものです。 また横の写真もピーターより提供のあったものです。(音声ファイルを頼むのを 忘れてしまいましたが)
ではピーター・アースキン独占インタビューをお楽しみ下さい。

橋 雅人

HASHI
ではサイバーインタビューを始めましょう。まず今回の日本ツアーについて話して下さい。
Erskine
今月(96年8月)の初めに富士山の近くの河口湖畔で行われたLIVE BY THE LAKEコンサートにマイケル・ブレッカーバンドの一員として参加できたのはすごく楽しかったよ。 このバンドのマイケルの他のメンバーはピアノのジョーイ・カルデラッツォ、 ベースのデニス・アーウィンで、1曲だけジョン・スコフィールドがギターで参加 したんだ。 それにこのコンサートではギターのジョン・アバクロンビー、ベースのマーク・ジョンソンとも演奏したよ。どちらもハービー・ハンコックの「ニュー・スタンダード」グループ (ブレッカー、スコフィールド、デイブ・ホランド、ジャック・ディジョネット、 ドン・アライアス)の前座だったけどね。日本にいる間はすばらしかったよ。 僕の世界で一番好きな所だね。

HASHI
日本に行く前に行っていたヨーロッパツアーについて話して下さい。
Erskine
この間のヨーロッパツアーは僕自身のトリオのもので、ECMトリオという名前で イギリスのピアニスト、ジョン・テイラーとスウェーデンのベーシスト、ポール・ダニエルソンと一緒にオーストリア、スイス、フランス、ドイツ、マルタ、イタリアと3週間に わたって演奏してまわったんだ。

HASHI
あなたはウェザー・リポート、ジャコ、ステップス・アヘッドなどエレクトリックジャズのドラマーとして有名でしたが、最近のリーダーアルバムでは大変アコースティックなジャズをされていますね。今はどちらかというとアコースティックな音の方がお好きなのですか?
Erskine
そうだね。僕はアコースティックジャズのダイナミックなところが好きなんだ。それに 音色やきめの細かさ、その音楽が提供してくれる可能性もね。

HASHI
最近でたジャコ・パストリアスのバースデイ・コンサートはフュージョン史に残る屈指の名作だと思うのですが、そのCDのライナーノートを書かれてましたね。 このアルバムについて話してもらえますか?
Erskine
ありがとう。このレコーディングが日の目を見て本当に嬉しく思ってるんだ。 このレコーディングについて僕が覚えている話は全部CDのライナーノートに書いてしまったと思うな。

Hashi
あなたは93年のスティーリーダンのツアーバンドに参加されていますが、いかがでしたか?
Erskine
ウォルター・ベッカーとドナルド・フェイゲンと一緒に仕事ができて楽しかったよ。 実際のところスティーリーダンは僕が最近普段やっていることとはちょっとジャンルが 違ったのだけど、それがかえって興味深くて楽しかった理由にもなったね。 彼らの93年の最初の再結成ツアーに頼まれたことは誇りに思ってるよ。 95年の秋にもスティーリーダンとはデビッド・レターマンのレイトナイトショーで一緒に演奏したよ。 それに去年の夏はボズ・スキャッグスとも仕事できて楽しかったよ。

HASHI
ニューヨークにお住まいなのだと思っていましたがホームページに南カリフォルニアに住んでいると書いてあるのを見ました。あなたのようなジャズ・ミュージシャンにとってはニューヨークの方がカリフォルニアよりいいと思っていましたが、何故ニューヨークよりもカリフォルニアを選ばれたのですか?
Erskine
今はサンタモニカ(訳注:ロスアンゼルスの近郊)に住んでいるんだけれど、 主な理由は家族の個人的なことなんだよ。ここロスアンゼルスにも 音楽制作に関わるいい機会はあるよ。 でもニューヨークが世界の音楽の 中心だということは言うとおりだね。

HASHI
あなたはご自分でインターネット上にホームページを運営されている数少ない トップクラスのミュージシャンの一人ですが、このような技術やマルチメディア とあなたの音楽との関わりはどう思っていますか?
Erskine
これはまだこの先どうなるかわからないな。でも確かなのは新しい コミュニケーションの方法だということだ。それによってもっと沢山の 人たちが僕の作品にふれるようになればいいなと思ってるよ。 それに直接僕のファンやリスナーと交流できるしね。

HASHI
あなたは今まで数多くのジャズ・フュージョンの名作に参加されて きましたが、その中からベスト3を選んでみてくれませんか?
Erskine
ジャズ・フュージョンのレコーディングで好きな3枚だね。そうだなあ...多分 ウェザー・リポートの「8:30」、 ステップス・アヘッドの「モダン・タイムス」、 ジャコ・パストリアスの「ワード・オブ・マウス」かな。それにもちろんECMでの ジョン・アバクロンビー、 ベース・ディザイアーズ、ジャン・ガーバレックと ミロスラフ・ヴィトウスとのスターの作品も僕自身の作品である「ユー・ネバー・ノウ」、「タイム・ビーイング」、「アズ・イティ・イズ」同様にすごく誇りに思ってるし好きだよ。 それにビンス・メンドーサの作品、マイク・マイニエリの「アメリカン・ダイアリー」、 ドン・グローニックとのレコーディング、ボブ・ミンツアー・ビッグ・バンドなども 好きだしね。

HASHI
もし予算や日程、生死にもかかわりなく夢のバンドを組めるとしたら誰を メンバーに選びますか?
Erskine
本当のことを言うけど、ジョン・テイラーとポール・ダニエルソンを選ぶよ!

HASHI
ジャズ・フュージョンの将来についてどう思いますか?
Erskine
もしフュージョンがもっとスペースとかダイナミクスを学んでくれば、僕は入っていくのだけれどね...でも今のところ音が大きすぎるとか、音数が多すぎるとか、 もしくはラジオで掛けてもらおうと意識しすぎているかだね... 僕がフュージョンに対して厳しすぎる意見を持っているという意味には聞いてほしくないんだけどね。フュージュンはすばらしい可能性を持っているし、僕の音楽での成功と 幸福の多くはフュージョンのおかげだったしね...

HASHI
最後に今後のツアーやレコーディングの予定について聞かせてもらえますか?
Erskine
僕のトリオは97年の2月に次のECMのレコーディングの為にノルウェーのオスロで スタジオ入りする予定だ。その後ツアーにでてヨーロッパとできればアメリカ、 日本、オーストラリアに行ければいいなと思ってるんだ。 それと今は日本の漫画アニメ「GUN SMITH CATS」(訳注:どなたか日本題ご存知なら 教えて下さい。)のための曲を書いたりもしてる。 あとプロデュースでおもしろかったのはBMG-NOVUSレーベルのフュージョン・プロジェクトでANANDO NENNETTとDANTE PASCUZZOという若手ミュージシャンの「HOMEGROWN」という タイトルのものがある。ここではジャコの「JOHN AND MARY」をこの2人に僕と アレックス・アクーニャ、ジョン・パティトゥッチ、アラン・パスケにストリング カルテットという編成で演ったんだ。これはあまり知られてないけどかっこいい レコーディングだよ。あとZAKIR HUSSAINとアコーティック・ベースでこれもジャコの 「THREE VIEWS OF A SECRET」にはDAVE CARPENTERが参加してる。NOVUS-J #BVCP-886 だよ。 それにいまだに常に2人の子供のいい父親であり、僕のすばらしい家内である ミツコのいい旦那であろうと努力してるよ。

<---ピーター・アースキンのホームページはこちら
<---インタビューの英語原文はこちら

Japanese Index
Please send your messages and comments tohashi@jazzfusion.com
Last update Aug27,1996