Victor Bailey(b,vo),Michael Bearden(p,key),Henry Hey(key),
●骨太いストレート系 ○明るく爽やか系 ○骨太系と爽やか
系の中間
非常に聴きごたえある作品です。最近、聴きやすいスムース系が幅を効かせていて、ちょっと食傷気味だったのですが、これだけ本格的FUSION作品に出会うと嬉しくなります。特にビクター・ベイリーの10年ぶりの作品となるそうですが、10年もリーダー作を作らなかった男の怨念を感じると言うか、本当にベイリーのやりたい放題の気がします。そりゃ10年も出して無ければ、売れ線を気にするよりもやりたい方を優先するでしょうね。 レニー・ホワイトの作品でも演奏した"Sweet Tooth"の再演なんかも更に磨きがかかった気がします。また"Low Blow"のベースとボイスを混ぜたサウンドは、まるでベースが歌っているような錯覚に陥ります。ラリー・グラハム(b)に捧げたという"Graham Cracker"は、ベイリーもやっとこんなスラップを聴かせるんだなぁという感じです。 さて、本作で最も気になるのはジャコ・パストリアス"Continium"に歌を付けてカバーした"Do You Know Who"です。別にジャコに捧げるのは良いのですが、ベイリーの場合はウエザー・リポートでジャコの後任ベーシストになった時点から常に比較されてたので、そこからは抜け出す必要があったはず・・・。
なにかベイリーは吹っ切れたようにベースを弾き、周囲もそれに触発されて実に生き生きとプレイしています。近年このタイプのFUSIONはあまりなかったんじゃないですかねぇ? なんせ10年ぶりです。これはじっくり堪能したい作品です。 Weathe ReportやBill Evans Group、そしてレコーディングセッションやツァーメンバーとして様々なミュージシャンと共演してきたベーシストです.89年に「Bottom's Up」というソロを出して以来のセカンドアルバムです. メンバーを見ると、彼が深く係わった人間が参加していますねぇ.嬉しいことにWayne Krantz(g)が参加してますねえエ. さて内容ですが、一曲目は妖しいシンセが流れる中オマー・ハキムの鬼気迫るドラミングをバックにベースとボイスの速いフレーズのユニゾンのテーマの曲.テーマのBメロでメセニーの作品のアズナール風のボイスが入る魅惑的な作品.ボーカルはベイリー本人の様ですねぇ. 二曲目でケニーギャレットが登場し、NY系のストレートな曲調の作品.ケニーの自由奔放なソプラノのソロとO.ハキムのドラムソロが聴き応えがあります. 四曲目ではジャコの「Continuum」に歌詞を付けて、ベースとユニゾンと歌ってます.ジャコの死後にW.Reportに参加したからという理由でなく、彼もジャコを目指していたんでしょうねぇ. 以降の曲は、前作のソロと比べると、前作が「ファンキーだぜい!イェ〜イ!」という華やかな雰囲気でしたが、本作は落ち着いた感じで淡々とそして激しくベースが狂おしい雰囲気ですねぇ.9曲目と10曲目でのベースソロはその圧巻というべきもので、場を壊さない速弾きを披露しています.これらのベースソロにジャコの面影を見る人は多いと思います. 最近のサウンドはスムース系一遍でどれ聴いても同じ様に聞こえるとお悩みの方、この作品はその不満を解消してくれます. 楽曲中心というよりは各自のパートやソロパートを重視してライブを見る様な緊張感あるサウンドです. 私の99年のトップ10に間違いなく入る作品です. ☆脳味噌錯乱級!!買いッ!!(アスワン)
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