David Sanborn「Closer」Verve(0602498631973)2005 - EU  
              

David Sanborn(as),Larry Gorldings(elp,org),Gil Goldstein(elp,accordion),
Mike Mainieri(vib),Russel Malone(g),Christian McBride(b),Steve Gadd(ds),
Luis Quintero(perc),Lizz Wright(vo),Bob Sheppard(sax),etc

●骨太いストレート系 ○明るく爽やか系 ○骨太系と爽やか系の中間
○R&B ○ブラック系   ○歌物・NAC/AOR 系
●ラテン系(□ブラジル系 □サルサ系 □カリプソ系)
○ユーロ系 ●JAZZ系 ○JAZZとFUSIONの中間系
○ブルース系 ○ロック系   ○ECM系

デヴィッド・サンボーンの前作「timeagain」と趣を同じにする新作がリリースされました。
メンバーはほぼ一緒なのでもしかしたら同時期録音かもしれませんね。
いずれの曲もアコーステイックを基調とした明るいサウンドです。

サウンドのタイプ的には「ラテン調」が多く、その間にAOR、Jazz、バラードをはさんだ構成のようです。
ラテン調と言っても軽いだけの軽薄な演奏とは雲泥の差で、重厚でいずれも濃い、味わい深い演奏です。
ラテンの有名曲「ティン・ティン・デオ」やホレス・シルバー「セニョール・ブルース」など、ラテンリズムをバックにサンボーン節が炸裂するサウンドは本当に心地良いです。
どうもラテンをバックにしたJazz Saxというと、古くはチャーリー・パーカー「フィエスタ」を思い起こすのですが、その作品や本作もいずれも心地良い、その相性のよさを感じます。

また、このアルバムは1曲1曲でこれは!という演奏があります。
チャーリー・チャップリン「スマイル」はJazzでも多く取り上げられ、Rockでもエリック・クラプトンが歌ったりと、まさにスタンダードな曲を情感一杯に歌い上げるサンボーンの泣きのSAX。
どちらかというと曲を素材にアドリブにかけた感じの演奏ですが、そのSaxのよく歌うことと言ったら・・まさに聴き所です。

それともう1曲凄いと思ったのが、ミッシェル・ルグラン作曲で、ビル・エバンス(p)の名演で名高い「You Must Believe in Spring」。
この曲をこんなにも熱く、そして感動的に演奏できるSax奏者はサンボーン以外に誰が?と思うような演奏です。
これはこの曲のSAXバージョンでは決定版になるかもしれませんね。フェイド・アウトが勿体無い。

また、サンボーンのオリジナル曲2曲もなかなかの出来です。
あまりの名曲が並んだ中で、やはりサンボーンらしさがこの2曲によく出ていてすがすがしいですね。

方向性は前作と同じですが、よく作りこまれていて更に重厚になった感じです。
考えて見ればここ2作ではマーカス・ミラーが絡んでないんですよね。
少々マンネリ気味だったところを心機一転が功を奏したのでしょうか。
聴き応えのある、本当に力作だと思います。

# この路線は意外にサンボーンにバッチリはまったようですね。(TKO)
 
 
   
Slow                     Speedy
Light                     Heavy
Mellow                     Hard
Lyrical                     Cool
Melodious                     Out_of_melody/code
Conservative                     Progresseve/Tricky
Ensemble                     Interplay