2000 Best Albums
美芽

本田雅人 「Real Fusion」

まさにゴキゲンな音の遊園地! アルト、ソプラノ、テナー、バリトンのサックス、EWI、フルートその他いろいろの楽器を駆使。変拍子やキメの嵐が続く様子には、東京ディズニーランドの高速ジェットコースター「スペースマウンテン」を思い出してしまう。超絶技巧の連発は、もはや本田サウンドというひとつのスタイルを形成しているのだ。かと思えば、ボサノヴァやしっとり系の曲、ところどころに入るヴォイスは、心に沁みてくる。いったいどこまでいってしまうのか、本田雅人。

青木智仁 「Experience」

すご腕ミュージシャンをずらりと揃え、それぞれの曲にきめ細かく各プレイヤーの個性を生かしている。サックス奏者だけでも本田雅人、勝田かず樹、伊東たけし、春名正治、小池修、そして渡辺貞夫という豪華さ。心にスッと入ってくるメロディー、どっしりしつつも躍動するリズム、スケール感のあるアレンジ、火花が散る各プレイヤーのソロ、何度聴いても発見がある。

Dimension 「Hearts」

これまでのキメキメ&パワフル路線から、癒し系&ダンスビートを意識した路線へ大転換。サックス勝田の、パワフル&ブロウ以外の魅力が引き出されており、「Hearts」ではメロディーが、「Nudistic」ではリズムが、ハートフルに心に訴えかけてくる。非常に聴きやすく、じんわりとあったかい気持ちが湧いてくる・・・! 

T-SQUARE 「T-SQUARE」

5人のメンバーによるT-スクェアとしては最後となった作品で、「少年の夢」をテーマにした。若手キーボーディスト松本圭司の作品が4曲入っていることに注目。「A DREAM IN DAYDREAM」「BELFAST SONG」「TAKING MOUNTAIN(TOPS)など、ポップで才気あふれて、ちょっと変わってる?・・・でも優しいニュアンスがある・・・強く心ひかれる曲ばかり。

T-SQUARE 「FRINEDSHIP」

安藤まさひろ・伊東たけしが、現在の気持ちを素直に音にした・・・あったかくて優しい、ラフで広々とした雰囲気が、なんとも心地よい。LA録音でバック・ミュージシャンもヴィニー・カリウタ、ネーザン・イースト、エイブラハム・ラボリエル、グレッグ・ビソネットなど豪華。ほっと一息、くつろげる作品に仕上がった。

Casiopea 「Bitter Sweet」

リズム体が鳴瀬・神保になってから既に4作目。「タイト・ライン」をはじめとして、このアルバムの曲は個性が非常にはっきりしている。ライヴで昔の曲と並べたときにも不思議なぐらい全体になじんで、しかも存在感があるのだ。現在のカシオペアが、実にカシオペアらしく躍動している。こういう味わいは、ベテランならでは! 

SOUL BOSSA TRIO 「RED. 2000」

ゴンザレス鈴木率いるクラブ系強力ユニットの8作目。このアルバムでは難波弘之、クリス・ミン・ドーキーと日野晧正のデュオ、ライヴ・サポートで清水興・則竹裕之・・・など、結構フュージョン系ミュージシャンも参加。踊れる、ポップ、ソウルフルなヴォーカル&コーラス、強力なグルーヴ、もちろんインプロビゼーションも。ドライで、ゴージャスで、とんがっていて・・・昨年、とりつかれたように聴いた1枚。

松居慶子 「IN A MIRROR」

心洗われるピアノ・サウンドという点ではこれまでと変わっていないが、バックに打ち込みのオケを使用したことで、ピアノが弾く旋律が風景の上をひとすじ流れるように際だった。幽玄でロマンティックなんだけど、絶対にどろどろしない。どこまでも洗練されている。ボブ・ジェームスとの連弾曲では、ボブの知的さと慶子のしなやかさの組み合わせが絶妙。

桜井哲夫 「TLM 〜LIVE MEMORIES IN 20 YEARS」

ベーシストとしての活動20周年で行ったツアーの模様を記録したライヴ盤。共演は野呂一生、向谷実、神保彰、勝田一樹。このメンツで全国でライヴをした中からよりすぐったテイクばかり。カシオペア初期の桜井ナンバー「Sailing alone」(8分32秒!)は野呂のギターソロ、向谷エレピソロがめちゃくちゃ熱く、手に汗握る。ライヴアルバムとしては、2000年で最もエキサイトさせてくれた作品。

熱帯JAZZ楽団 「IV La Runba」

暑くなってくると「そろそろ熱帯かな」と、すっかり定着した感がある「熱帯ジャズ楽団」。収録された「Dear Mr.Jones」メドレーは、テレビでも随分流れてたような。理屈抜きに楽しめるラテン・ジャズとして、まずは押さえておきたい1枚。聴くたびに「やっぱラテンとビッグ・バンドはいい!」としみじみ、明るい気持ちにさせてくれる。

番外:フュージョンでの注目作品としては難波弘之・山木秀夫・水野正敏の「A.P.J」がアコースティック・プログレッシヴ・ジャズというコンセプトで、難波弘之が生ピアノでプログレ&ジャズをガンガン展開してて聴き応えあり。ドラムが小森啓資に変わった野獣王国の「フル・ファンタジー」もファンタジックかつ野性的という、独特な世界が印象的。

ジャズ色が強いので番外になったけれど、小曽根真の「PANDORA」「WIZARD OF OZONE」、小曽根真プロデュース作品の伊東君子「KIMIKO」、それからクラシック畑から廻由美子「BACK TO BACH」、このへんも2000年のお気に入りアルバムだった。


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